消化器外科医として多様な臨床を経験。患者の身近な場所で診療にあたり地域医療に貢献したいと開業
はじめに、先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。

私は、年齢・性別を問わず、人とコミュニケーションを取ることが得意なほうで、その様子を見た父や高校の先生から「人と関わる仕事が向いているのでは」と医師を勧められたのが最初のきっかけでした。
また、通っていた塾の講師が医学部の学生で、その姿がとてもかっこよく映り、「自分もあのように誰かの役に立てる存在になりたい」と漠然としたあこがれを持ったことも、医師を目指す大きなモチベーションになりました。
開業されるまでのご経歴を教えてください。
長崎大学医学部を卒業後、初期研修を経て九州大学の第一外科に入局しました。外科では、心身ともに大きなつらさを抱えて来院される患者さんも少なくありません。しかし治療が奏効すると、日に日に表情が明るくなり、元気を取り戻していかれる姿を見ることができます。その劇的な回復のプロセスに魅力を感じたことが、外科を志した理由の一つです。
そのなかでも、食道・胃・十二指腸・小腸・大腸・肝臓・胆道・膵臓・肛門といった広範な領域を診る「消化器外科」は、ほぼ全身を総合的に診る力が求められます。患者数も多く、より多くの方の力になれる点に強く惹かれ、この分野を専攻しました。
入局後は、九州大学病院や佐賀大学医学部附属病院、小倉医療センターなど、各地の関連病院で消化器外科医として勤務し、胆石症や虫垂炎などの良性疾患から、胃がん、大腸がん、膵臓がんをはじめとする悪性疾患まで、消化器領域全般の診療に携わりました。
また、勤務先の方針により胆道・膵臓領域では内科的治療も外科が担当することがあり、内科診療に携わる機会にも恵まれたことで、多面的な視点から診療を行える基盤が築かれたと感じています。
2014年には井上病院に移籍されました。
井上病院では、胆石症や虫垂炎、鼠径ヘルニアといった日常的にみられる外科疾患に対して、週1回程度、手術を執刀しながら、その他の時間は 内科・外科を問わず、外来および入院診療を担当していました。肺炎や腸炎などの感染症や消化器疾患、外傷を中心に診療していましたが、ご高齢の患者さんは、高血圧や糖尿病などの持病を持った方が多く、これらの治療もあわせて行いました。また、入院するとベッドで過ごす時間が長くなり、足腰が弱くなっていくことに危機感を感じ、歩行を促したり、療法士さんにリハビリをお願いしたりして、積極的に介入していました。このように、外科にとどまらず、一人の患者さんを総合的に診る医療を少しずつ実践できるようになり、医師としても人間としても大きく成長できたと感じています。
地域の医療機関では、大学病院や大きな総合病院に比べて、より患者さんの生活に寄り添った診療が求められます。「患者さんのそばで診る」経験を積めたことは、現在の診療においても大きな糧になっています。
そして2024年4月、「ながよしホームクリニック」を開業されました。開業を決心された経緯や想いを教えていただけますか?
大学病院や総合病院で専門領域の高度な治療に携わることは、大きなやりがいがありました。一方で、井上病院での経験を通じて、地域の中で患者さんの身近な存在として幅広い症状に向き合う地域医療の重要性も改めて実感するようになりました。「多くの方の健康を支えられる地域医療にもっと深く関わりたい」「自分のクリニックを開いて、より患者さんに近い場所で力になりたい」
──そうした思いが少しずつ膨らんでいきました。
とはいえ、開業は簡単な決断ではありません。迷っていた私の背中を押してくれたのは、「あなたは開業医に向いていると思う」と言ってくれた妻の言葉でした。また、コロナ禍で混乱していた勤務先の状況が落ち着いてきたことや、この土地とのご縁があったことも後押しとなり、開業を決意しました。
当院はドラッグストアの敷地内にあり、67台分の共用駐車場を利用できる、車でも通いやすい環境が整っています。近隣には勤務医時代から連携してきた医療機関も多く、井上病院のある糸島市からも車で来られる距離のため、開業後も変わらず通ってくださる患者さんがいらっしゃることは本当にありがたいことです。この地域で、よりよい医療を提供し続けられるよう、日々診療に邁進しています。
