大学病院や基幹病院で幅広い診療経験を積み、泌尿器症状に悩む患者の受け皿になるべく専門クリニックを開業
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。

じつは、大人になるまで大の病院嫌いで(笑)、幸いにも健康で大きなケガを負うことなく育ったため、昔は病院が怖い場所だと思っていました。そんな私が医師を目指そうと思ったのは、海外で起こった災害の映像を目にしたことがきっかけです。高校生の頃にその映像を偶然見る機会があり、そのとき突然「私はここに行き、困っている人を助けなければならない」という感覚になりました。不思議な出来事でしたが、使命感のように医師をなることを決意しました。
瀬野先生は広島大学医学部卒業後、研修を経て泌尿器科に入局されました。どのような理由から泌尿器科を専攻されたのでしょうか?
医学部生のときの実習で手術に興味を持ったのが理由の一つです。外科にもいろいろな分野がありますが、泌尿器科では開腹手術や経尿道的手術に加え、当時他科ではまだあまり導入されていなかった腹腔鏡(内視鏡)手術が採用されており、先進的な治療に携われる点にやりがいを感じました。
また、ほかの診療科では、検査や診断は内科で行い、手術は外科が担当し、術後の治療は再び内科と細かく分かれていることもあります。検査から診断、治療、経過観察まで同じ科で一貫して担当し、内科的治療と外科的治療ができるところも魅力で泌尿器科を専攻しました。
開業までのご経歴と、主に診てこられた症状や疾患について教えてください。
入局後は、松山赤十字病院、広島西医療センター、安佐市民病院(現・北部医療センター安佐市民病院)、広島大学病院、市立三次中央病院などをまわり、20年間勤務してきました。
泌尿器疾患は、膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染症をはじめ、過活動膀胱、尿失禁、尿管結石、膀胱がんや前立腺がんといった泌尿器がんまで多岐にわたります。軽症から重症例まで幅広い疾患を診療し、松山赤十字病院では小児の泌尿器疾患を担当したり、安佐市民病院ではがん治療に多く携わったりするなど、多様な臨床経験を積み研鑽を重ねました。手術も数多く経験し、先輩方から指導いただきながら腹腔鏡手術や開腹手術、経尿道的手術などに幅広く携わり手技を磨きました。
また、広島大学医歯薬学総合研究科で脂肪肝や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に関する研究に従事し、医学博士を取得。生活習慣病についても学びを深め、医師としての知見を広げることができました。
そして、2025年5月に「三次せの泌尿器科」を開院されました。開業を決められた想いをお聞かせいただけますか?
2016年から市立三次中央病院の泌尿器科に勤務していたのですが、いつも外来が混み合っていて医師の負担も大きくなっていました。日本の医療体制では、地域のクリニックで軽い症状や安定期の患者さんの診療を担い、重症疾患や入院が必要な患者さんは基幹病院などの高次医療機関で治療するようになっています。しかし、三次市には泌尿器の専門クリニックがほとんどないため市立三次中央病院に集中する状況が続き、私たち医師も時間をかけて診るべき患者さんに十分な時間をかけられなくなっていました。
患者さんが大きな病院まで行かずに診療を受けられ、基幹病院と連携しながら地域医療を支える医療機関の必要性を感じ、「自分がそういった患者さんの受け皿になれれば」と思い、開業を決心しました。

