心臓血管外科医として多くの心臓手術で腕を磨き研鑽を積む。専門性を活かして地域医療に貢献すべく自身のクリニックを開業
はじめに、先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。

子どもの頃、よく遊びに行っていた従兄弟の家が産婦人科医院でした。医師の叔父は、いつも医院と家を行き来しながら慌ただしく働いていましたが、その姿がとてもかっこよく見えました。子ども心に「忙しくも人の役に立つ仕事っていいな」と憧れのような気持ちを持ったのが医師を志した出発点です。
先生は東京医科歯科大学(現・東京科学大学)卒業後、同学の胸部外科(現・心臓血管外科)に入局されました。なぜ心臓血管外科を専門に選ばれたのでしょうか?
心臓血管外科は外科学のなかでも機能外科であり、失われつつある心臓機能を手術によって回復させる診療科です。緊急性が高かったり高度な知識と技術を求められる領域ですが、手術による機能の再建や回復が目に見えて確認でき、ダイレクトに治療効果を感じられる点に魅力を感じ、心臓血管外科を専門にしようと決めました。生死をさまよう重篤な状態の患者さんが見違えるように元気になり、笑顔で退院される姿に大きなやりがいと喜びを感じました。
開業されるまでのご経歴と、主に診てこられた疾患について教えてください。
入局後は、亀田総合病院、横浜市立みなと赤十字病院、武蔵野赤十字病院の心臓血管外科に勤務し研鑽を積んできました。
心臓血管外科の手術は、成人の場合、主に狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患、大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症や僧帽弁狭窄症・閉鎖不全症などの心臓弁膜症、大動脈瘤や大動脈解離などの大動脈疾患の3つに大別されます。さらに、冠動脈バイパス術、弁置換術、弁形成術、人工血管置換術、ステントグラフト内挿術など、さまざまな術式があり、数多くの症例を経験し手技を磨きました。
約15年在籍した武蔵野赤十字病院では、オフポンプ冠動脈バイパス手術、低侵襲心臓手術(MICS)、ステントグラフト内挿術など患者さんにかかる負担を抑えた低侵襲な手術にも力を入れ、3000件以上の心臓血管手術に携わりました。また、外来では手術治療には至っていない患者さんの診療や、手術を受けた患者さんのフォローアップなども担当し、幅広く臨床経験を積みました。心臓血管外科部長として後進の育成にも携わるなど、忙しくも充実した日々だったと感じています。
高度医療の第一線で活躍されていた先生が自身のクリニックを開業されたのは、どのような想いからでしょうか?
手術によって心臓や血管の機能回復を図る一方で、すでに心臓全体、血管全体が損傷し悪くなっているケースも多くありました。病気になった部分を治療するのも重要ですが、そうなる前の段階で、手術しなくてもいいような全身管理や予防医療に関われないかと思ったのが理由の一つです。
また、大きな病院は患者さんの数が多く、主治医であっても一人ひとりにかけられる時間が限られています。手術後も私を頼ってくださる患者さんを継続的にケアするには、自身のクリニックを開業するのがよいのではと考えるようになりました。
これからは地域のかかりつけ医として、患者さんにより近い場所で長く健康を支えていきたいという想いで、2025年11月に「三鷹通り中町クリニック」を開院しました。
