スペシャル対談

女優 羽田
美智子
Michiko Hada

吉川 恭弘 監修 : 吉川整形外科 吉川 恭弘 院長

舞台本番当日「右腕が上がらない!」
羽田美智子さんが体験した突然の五十肩と更年期の関係性——“自然に美しく”年を重ねるために実践したいこと

柔らかな笑顔や自然体なたたずまいが魅力の女優、羽田美智子さん。映画やドラマ、舞台と幅広いステージでキャリアを積み重ね続けながら、SNSやポッドキャストで更年期や二拠点生活など“等身大の暮らし”を発信しています。
そんな羽田さんは、「五十肩」や更年期に起因する骨密度の低下を経験したそうです。人生の円熟期を迎えた女性は、体や心に関する困りごととどのように付き合っていけばよいのでしょうか。羽田さんと、「吉川整形外科」吉川恭弘院長に語っていただきました。

羽田 美智子さん、吉川 恭弘医師のプロフィール

羽田 美智子

女優
羽田 美智子 (はだ・みちこ)

茨城県出身。1988年デビュー。1994年公開の映画『RAMPO』でヒロイン役に抜擢され、「日本アカデミー賞」で新人俳優賞を受賞。以降、多数の映画やテレビドラマに出演。主な出演作として『特捜9』シリーズ、『おかしな刑事』シリーズ、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、『花嫁のれん』シリーズ、『隕石家族』などがある。女優業のほか、自身が「本当にイイ!」と思ったものだけを紹介・販売するネット上のセレクトショップ『羽田甚商店』の店主も務めている。更年期について語るPodcast・YouTube番組「羽田美智子のChange of Life」が毎週水曜19時更新。

『羽田甚商店』
https://hadajinshop.co.jp/
『羽田美智子のChange of Life』
https://www.youtube.com/@ChangeofLife_CoL 着用衣装
衣装協力/beautiful people

吉川 恭弘

吉川整形外科 院長
吉川 恭弘 (よしかわ・やすひろ)

富山医科薬科大学医学部(現・富山大学医学部)卒業後、横浜市立大学大学院で医学博士を取得。1993年から2年間、米国クリーブランドクリニックに留学し、骨の細胞移植による難治性骨折治療の研究に従事する。帰国後は横浜市立大学附属市民総合医療センターなど基幹病院で、脊椎手術や人工膝関節・人工股関節手術、スポーツ外傷の診療に携わり、リウマチ、運動器リハビリテーション、義肢装具分野でも研鑽を重ねる。2002年に吉川整形外科を開院。同院ではリウマチやスポーツ外傷の専門的な治療に加え、整形外科疾患全般に幅広く対応。できるだけ早く痛みを取り除くことを心がけ、患者一人ひとりの目的に合わせたオーダーメイドの診療を実践している。

記事本文

五十肩は突然に……スピーディーな治療で難を逃れる

羽田さんはある日突然、54歳で「五十肩」になったと伺っています。どのような状況だったのでしょうか?

もう忘れもしません。舞台初日を翌日に控えた夜、肩の凝りや背中の重さ、心臓を圧迫されるような重苦しさを感じていました。舞台前の緊張によるものだと思ったのですが、だんだんと右腕が痛くなってきて……。結局、腕が痛くて眠れず、そのまま翌朝を迎えました。
そして朝になり、シャワーを浴びるために右腕を伸ばそうとしたら、電気が走ったような激痛がして、シャワーヘッドを手に取れなかったのです。「えっ、何これ!?」とパニックになりました。さらに困ったのが、髪を乾かす時です。ドライヤーを持つ腕が上がらないから、首をかしげてなんとか風を当てるようにしました。
その日の舞台は、手を上に挙げる振付けや遠くを指差す仕草が多かったので、慌てて整形外科へ。五十肩だと言われ、ステロイド注射を打ってもらい、なんとか舞台に立つことができました。
先生、こうした「突然の肩の痛み」はよくあるものなのでしょうか?

羽田さんのようなケースは、40〜50代の女性に非常に多いケースです。そもそも「五十肩(肩関節周囲炎)」とは、肩を動かすための筋肉の末端にある「腱板」や「靭帯」が炎症を起こしている状態を指します。
肩の組織は「輪ゴム」のようなものです。新品の輪ゴムはしなやかで、グッと引っ張っても伸び縮みしますが、使い続けると硬くなって切れてしまいますよね。これと同じで、若い頃は肩の組織が柔軟に動いていても、だんだんと動きが悪くなっていき、急な負荷がかかるとブチッと切れたり、激しい炎症が起きたりします。この「長く使い古した輪ゴムがブチッと切れた状態」が五十肩です。40代で起きる四十肩も同じ原理ですよ。

よく起こるケースなのですね。五十肩に対しては、どのような治療が行われるのが一般的でしょうか。

五十肩では通常、鎮痛剤や湿布の処方、炎症を抑えるためのステロイド剤や潤滑効果のあるヒアルロン酸の注射、痛みがひどい場合には神経ブロック注射などの治療が行われます。痛みが落ち着いてきたら、肩の動きを良くするためのリハビリを開始します。
炎症が起きる過程でカルシウムが沈着する「石灰沈着性腱板炎」という状態になることがありますが、これが非常に痛いのです。羽田さんに即効性のあるステロイド注射が効いたのは、その炎症をピンポイントで抑えられたからでしょう。

五十肩について「放っておけばそのうち治る」という言葉もよく聞きますが、実際はどうなのでしょうか。

それは危険な誤解かもしれません。たしかに痛み自体は数ヶ月で引くこともありますが、また、五十肩だと思っていても、実は痛みの原因が頸椎の疾患や乳がんや内臓の腫瘍の場合もあります。
ですから、まずは痛みの原因を知るために、受診して検査を受けることが大事ですね。大きな疾患の可能性が低いと確認できれば精神的にも楽になりますし、適切な治療によって治癒までにかかる期間を大幅に短縮できるでしょう。