スペシャル対談

EXILE 松本 利夫 Toshio Matsumoto

岩堀 本一 監修 : スラージュ内科クリニック 岩堀 本一 院長

EXILEが飛躍を遂げる中で難病「ベーチェット病」に…
困難を受け入れたMATSUが語る「折れない心の作り方」

記事本文

病を「受け入れること」と「諦めること」の違い

松本さんは病気とどのように向き合ってきましたか?現在に至るまでの心境の変化について教えてください。

難病になったことは、最初とうてい受容できませんでした。「何で俺が」「前の体に戻してくれ」という怒りと嘆きばかりでした。
でもある時「病気を否定し続けている限り、この苦しみは終わらない」と気づいたのです。だから、あえて「これは自分の“個性”なんだ」と思い込むことにしました。これは「病気を受け入れた」ことになりますか?

なると思います。米国の精神科医であるエリザベス・キューブラー=ロスは、死や大きな喪失に直面した時、人は「否認(診断に衝撃を受け、否定する)」「怒り(なぜ自分が病になるのかと怒り、周囲を妬む)」「取引(治療などの対応をとる)」「抑うつ(困難な状況に対して抑うつ的になる)」を経て、最後に「受容(困難を受け入れる)」に至ると提唱しました。
松本さんはまさにこのプロセスを、身をもって体験され、「受容」に至ったのですね。

そして「受け入れること」と「諦めること」はまったく違います。受け入れることは、病を認めて前向きになっている状態ですが、諦めることは病を認めずに投げ出してしまうことです。病を受け入れるからこそ、物事に向き合い、乗り越えていくことができるのです。

たしかに、そのプロセスのすべてを経験しました。そして病を抱えながらもダンスを続けていくために、100%のパフォーマンスを目指して無理をして病状を悪化させるのではなく、80%の力で最高のクオリティを見せる調整をするなどの工夫もしていました。これは受容したからこその行動だったのですね。

病気は、自分の限界を教えてくれる教師のような存在にもなり得ます。病気になったからこそ気づけた幸せや、深まった人間関係もあるのではないでしょうか?

病気のおかげで、人の痛みに敏感になれたと思います。家族の温もりや、今日一日の尊さも知ることができました。もし病気がなければ、もっと傲慢な人間になっていたかもしれません。そう考えると、ベーチェット病は僕の人生を豊かにしてくれた、かけがえのない要素かもしれないですね。