内視鏡の可能性に魅力を感じ、消化器内科医の道に。病気の治療と予防の両方を重視する医療を志し開業
はじめに、宮本先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。
父が鍼灸師で、仲の良いいとこが医師であったりと身近に医療従事者がいたことや、高校の友人に医師の子弟が多かったこともあって自然と医師を志すようになり、東京の昭和大学医学部に進学しました。
消化器内科を専攻された理由を教えていただけますか?
大学の臨床実習で内視鏡にふれて、その可能性に強く惹きつけられました。内視鏡のおかげで胃がん、大腸がん早期発見が可能になりましたが、当時は治療においても患者さんの身体にかかる負担を軽減できる低侵襲な治療として内視鏡が注目され始めた時期でした。
2000年に大学を卒業後はそのまま昭和大学病院の消化器内科に入局、消化管グループに所属して、附属病院や関連病院で内視鏡の診療や研究に研鑽を重ねてきました。約15年間にわたりさまざまな症例を経験しましたが、中でも早期の胃がん・大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の内視鏡検査・治療に数多く携わりました。
そして2020年、福岡市西区に宮本内科を開業されました。どのような思いから開業を決められたのでしょうか?
長年胃腸疾患の診療に力を入れてきましたが、その中で生活習慣病やアレルギー疾患、そしてうつ病などの精神疾患の患者さんまで、胃腸が悪い方が多いと感じていました。
きっかけは日本より30年進んでいると言われているアメリカの機能性医学(分子栄養医学とかオーソモレキュラー医学とも言われます)と出会ったことです。
機能性医学では病気の根本原因の一つに体内の慢性炎症をあげています。腸は体内の炎症の場として最も重要な臓器です。腸内環境が悪いことが様々な疾患に繋がります。ですから正しい食事と健康な胃腸は全ての病気の治療と健康管理の基礎であることを知りました。
病院では胃腸疾患の患者様しか診ることができませんが、開業すればもっと多くの患者さんを診ることができる、多くの人を幸せにできる、と考えるようになりました。
人は自らが食べた物で作られています。言い換えると食べた物が間違っていれば、けして健康になることはありません。ですが、本当に正しい食の知識を持っている人はほとんどいません。健康にいいと言って野菜ばかり食べている人、それもスーパーやコンビニで売っている栄養素の抜け切ったサラダを良かれと思って食べています。そして、その食事を消化・分解して栄養を吸収するのは胃や腸の役目です。どんなに正しい食事をしても、胃や腸が元気でければ、栄養をしっかり吸収することができません。
つまり、健康を守るためには、食事の内容と胃腸の状態、その両方が良好であることが重要です。古代ギリシアの医師ヒポクラテスが残した「すべての病気は腸から始まる」という言葉がありますが、一見、消化器病とは関係がないように思える不調を感じていらっしゃる患者さんによくお話を伺ってみると、原因の根本が日頃の食生活、または胃や腸の状態にあった、ということが少なくありません。
「これまで消化器内科医として研鑽を重ねてきた技術を活かし、消化器疾患の早期発見・早期治療に繋げたい」と同時に、「病気や不調の原因となるものを根本的に取り除くような医療を提供し、病気を未然に防ぐという観点からも、多くの方の健康に貢献したい」。そうした医療の実現を目指し、開業を決めました。