消化器内科から総合診療まで幅広く研鑽。地域中核病院で重責を担ってきたベテラン内科医が、"家族のためのクリニック"の副院長に就任
はじめに、医師を志したきっかけと、内科を専門とされた理由をお聞かせください。

進路を考える中で、医師という仕事は「一生をかけて取り組める職業」だと感じたことが、志す大きなきっかけとなりました。医師は、専門的な知識と技術を継続的に磨きながら、患者さんの健康と人生に深く関わっていく職業です。責任の重さは並大抵ではないものの、やりがいがあると感じたことも理由の一つですね。
内科を選んだのは、「全身を診られる医師になりたい」という思いがあったからです。内科医は、些細な症状から重篤な病気まで、患者さんのさまざまな訴えに対して診断と治療を行います。時には命に関わる判断を担うこともあり、その責務の大きさと向き合いながら診療を重ねることで、より多くの患者さんに貢献できると考えました。内科は奥が深く、学べば学ぶほど臨床の幅が広がる、追及しがいのある分野だと感じています。
貴院に入職されるまでのご経歴を教えてください。
横浜市立大学医学部を卒業後、同大学の第二内科に入局しました。その中で私は、消化器内科をサブスペシャリティとして選び、食道・胃・大腸・肛門といった消化管全般を対象に、診断から治療、さらには消化器内視鏡の技術も含めて専門性を高めてまいりました。
これまでの勤務歴としては、横浜市立大学附属病院をはじめ、複数の関連病院で診療経験を積み、大学では第二内科の助手も務めました。その後、県立足柄上病院に赴任し、副院長として地域医療にも深く関わりながら、定年まで勤務してきました。
県立足柄上病院には30年ほど勤務されたそうですが、主にどのような診療に携わってこられたのでしょうか?
キャリアを振り返ると、前半は消化器内科医として、消化器病専門医※1、消化器内視鏡専門医※2の資格を取得しながら、内視鏡技術や診療の専門性を高めていくことに力を注いできました。そして、足柄上病院での長年の勤務を通じて、後半は総合内科専門医※3として、より広い視点で患者さんと向き合い、全身を診る総合診療に取り組んできました。専門性と総合性の両面を活かしながら、地域に根ざした診療に力を尽くしてきたことが、私の医師としての大きな軸となっています。
※1 日本消化器病学会消化器病専門医 ※2 日本消化器内視鏡学会内視鏡専門医 ※3 日本内科学会総合内科専門医
足柄上病院では副院長として要職を担ってこられた加藤先生が、開業医に転身された理由をお聞かせください。
足柄上病院には感染症病棟があり、私はその病床管理の責任も兼務していましたが、新型コロナウイルス感染症が流行した時期には、昼夜を問わず、休日であっても対応にあたる日々が続きました。責務を果たすことにやりがいを感じながらも、心身ともに疲弊していたのが正直なところです。
また、病院では生活習慣病などが重症化してから受診される患者さんを多く診てきました。そのたびに、「もっと早い段階で介入できていれば」と感じることが多く、次第にプライマリ・ケア(初期診療)への関心が高まっていきました。
重症化を防ぎ、地域の方々の健康を日常的に支える診療に取り組みたい——そう考えていた矢先、定年を迎えるタイミングで、当院院長の高橋誠先生からお声がけをいただき、2024年4月より、副院長として新たなスタートを切りました。これまでの経験を活かしながら、地域に根ざした医療に貢献していきたいと考えています。
