総合診療医として培ってきた幅広い経験や知識、スキルを地元に還元して地域医療を支える
はじめに医師を志したきっかけをお聞かせください。
実は私自身、幼い頃に腎臓の病気を患っていて、よく大学病院の小児科にお世話になっていたんです。その小児科の先生がとても優しくて、親身になって診てくれて「病気を治してくれるお医者さんてすごいな」と憧れのような気持ちを抱いたのが始まりですね。いつしか「今度は自分が助ける側になりたい」という気持ちが強くなり、将来は医師になろうと心に決めていました。腎臓内科を専門領域として選んだ理由もまた、かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの力に少しでもなれたらとの思いからです。
クリニックを開業されるまでのご経歴を教えていただけますか?
山形大学医学部を卒業後は、地元の栃木に戻り、自治医科大学付属病院に研修医として勤務。自治医科大学にはもともと「総合診療医をめざす」という思想があり、2年間は総合ローテーションでさまざまな診療科をまわりました。診療科のローテーションは今でこそ当たり前になっていますが当時としては珍しく、ICU(集中治療室)や放射線科、エコーの検査部などさまざまな領域で臨床経験を積んできました。
その後は同大学病院の腎臓内科に入局しました。ただ、派遣された古河赤十字病院や芳賀赤十字病院は、地域の中核病院でしたので専門の腎臓内科だけでなく、肺炎や脳梗塞、救急対応など診療科の垣根を越えて診る必要がありました。ここで、さまざまな症例を経験し、数多くの患者さんと向き合えたことが、総合診療医としての礎になっています。
さらに、学びを深めるために、自治医科大学付属病院に戻り大学院に進みました。腎臓に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。それ以降は、同大学付属病院や新小山市民病院に勤務し、主に専門である腎臓病の治療に研鑽を重ねてきました。その後、透析センター長や腎臓内科の科長職を経て、2013年に「おぐら内科・腎クリニック」を開業し、現在に至ります。