更新日: 2023-05-08

基本情報

名称:
草津かわはらクリニック
診療科目:
内科, 血液アレルギー科, 循環器内科, 呼吸器内科, 消化器内科, 糖尿病内科
住所:
〒 525-0036
滋賀県草津市草津町1899

電話番号077-598-0591電話
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JR東海道本線・草津駅と南草津駅のほぼ中間に位置する「草津かわはらクリニック」は、今年2023年1月10日に開業。患者さん一人ひとりの健康を総合的にサポートする「総合内科クリニック」として、内科全般の診療にあたっている。商業施設や図書館などの集まる好立地で幹線道路に面しており、20台以上駐車可能な駐車場も完備、草津市内はもちろん、近隣の大津市、栗東市、守山市といった地域からもアクセスしやすく、開業以来、地域の方が引きも切らず来院している。

院長の河原真大先生は、内科領域の診療に幅広く携わってきた総合内科専門医。また血液専門医として、血液のがんである白血病の研究に従事してきたほか、さまざまな血液疾患の臨床経験を重ねてきたスペシャリストだ。「培った知識と経験を活かし、地域の皆さんの健康に貢献したい」と語る河原院長は、クリニックでの診療と並行して訪問診療や在宅輸血も実施。少しでも多くの患者さんに医療のサポートを提供しようと、日々尽力している。そんな河原院長に、開業に至った経緯、クリニックの特徴、患者さんへの思いや目指す医療のあり方などについて伺った。

内科領域全般の臨床経験を経て、大学院と留学で白血病を研究。培った知識と経験をもとに開業へ

はじめに、河原先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。

河原先生の写真

私は子どもの頃よくけがをしたのですが、そのたびに先生が治してくださるのを見て、医師という仕事に憧れを抱くようになりました。高校2年生のときにはスポーツで左膝の半月板を損傷して、手術を2回受けたこともあります。そうした経験を通じて、医師を目指す気持ちが強まっていきました。
 
一方で、生きもの全般にとても興味がありましたし、化学の勉強も好きでしたので、進路を決めるときは迷いもありました。でも、医学部へ進めば、医師になる道だけでなく研究の道もあります。そういう可能性も見すえて、京都府立医科大学の医学部に入学しました。

そして1999年に大学を卒業されました。その後のご経歴を伺えますか?

卒業後は大学病院や地域の基幹病院などで研鑽を重ねました。最初の2年間は、内科医になろうとは決めていましたが専門分野を決めずに広く何でも診られる医師になろうと経験を積んできました。その中で、私と同年代で白血病(白血球のがん)の治療に立ち向かっている患者さんを担当しました。白血病は、老若男女問わず、不摂生・不養生とは関係なく突然襲ってくる病気です。また白血病は全身いたるところに症状(問題)を引き起こしてくるので、全身を診る力がなければ治療できません。この病気を治せる医者になりたい、そう思うようになりました。
 
こうしたことをきっかけに、4年間の研修後の2003年に京都大学大学院の医学研究科に進み、白血病の研究に従事して医学博士を取得します。ただ、白血病の研究はアメリカが非常に進んでいまして、本場でより先進的な研究を追求したいと考えるようになりました。そこで2008年から3年間、アメリカ・ニューヨークにあるアルバート・アインシュタイン医科大学に留学しました。この留学で、Cancer Cellという一流誌に研究成果を発表することができたのですが、私の思い出は別のところにあります。それは、この留学中に椎間板ヘルニアを発症して、激しい腰痛と左足の痺れが起こり、アメリカの整形外科クリニックで診療を受けたのですが、そこで体験したアメリカの医療は日本とはまったく異なるものでした。
 
日本には国民皆保険制度があり、保険証があれば誰でも保険診療を受けることができます。しかし、アメリカでは民間医療保険に加入するのが一般的で、加入していなければ高額な費用負担がかかります。しかもその医療保険を使える医師、使えない医師がいて、まずそこから調べて受診予約しないといけない。さらに医療保険でカバーされるものされないものなどが決められていて、カバーされているものでも細かい要件を満たさないと保険が適用されません。私の場合、腰のMRIを撮影する必要があったのですが、保険会社からカバーされないとして当初高額な請求を受け、保険会社と直接交渉が必要になりました。自分で症状や画像所見などを記載して(もちろん英語で!)郵送し、最終的には保険適用を受けたのですが、それはもう大変。改めて日本の医療システムの素晴らしさを実感しましたね。
 
反面、アメリカの医療のいいところも学びました。日本では、個々の医療機関が検査機器を備えて検査を実施することが大半です。一方アメリカでは、MRI検査などを行う専門の画像診断センターがあり、さまざまな医療機関がそのセンターを利用して患者さんの検査をすることができます。各医療機関が個別に検査機器を用意する必要がなく、合理的でいいシステムだなと感じました。
身をもってしたこの体験は、提供する医療のあり方を考える上での一つの指針になっていますね。

2011年に帰国し、2015年からは滋賀医科大学医学部附属病院の血液内科に勤務医として入られました。

河原先生の写真

大学院時代から研究を重ねてきた血液疾患の領域で、白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった血液疾患の診療に数多く携わり、造血幹細胞移植などの経験も積みました。白血病などの血液疾患は、かつては「不治の病」とも言われる深刻な病気でしたが、医療が進歩し、新しい薬も開発されて、今では治療成績も上がっています。私も世界の知見を学びながら、日々診療にあたっていました。
 
滋賀医大に移ってからは、消化管免疫の世界で大変高名な安藤教授の許で血液内科の臨床・研究を任されて、とても充実した日々を過ごすことができました。安藤教授は、「研究ができなければよい医者にはなれない」と仰っておられて、常に励ましていただけました。当たり前のことですが英語の論文を読まなければ最新の知見を取り入れることなどできません。今でも時間を見つけてはNew England Journal of Medicineなどの英論文を読むようにしています。
 
また「分野に囚われず全身をみることが大事」とも仰っておられて今も肝に銘じています。複数の病気を抱える患者さんが増えている昨今、一分野に偏っていては適切な治療ができなくなる恐れもあります。例えば、ある病気にはこの治療がベストだけれど、別の病気のためにそれができない、ということはよくあります。その場合、検査などで適切な評価をした上で、患者さんにとって最もよい治療を計画していかなければなりません。全身を診ることの重要性は今後益々増してくると思っています。