大学内の書店で偶然手にとった本がきっかけで形成外科医の道へ
形成外科医を目指されるようになったきっかけを教えてください。
実のところ、医学部に進んではみたものの、内科や外科といった王道医学にはあまり興味を持てなかったんです。そんなときに、大学内の書店で、たまたま形成外科の本を見かけたのです。どんなことをする科だろう?と思ってその本をたまたま手にとったのがきっかけですね。
衝撃的だったのは、上顎洞がん、いわゆる上あごのがんの切除後の写真、そして形成外科医による顔面再建術後の写真です。がんの切除のため、顔を構成している半分がなくなっている状態から、形成外科医が手術を施した後には、顔らしいものがちゃんと再現されていて、純粋に「すごい!」「こんなことができるのか!」と驚きました。そこから興味を持つようになり、「自分もこの道を進みたい」と形成外科医になることを決めました。
私は京都府立医科大学の出身ですが、大学では形成外科の講義はなかったので、その本に出会わなければ、形成外科の存在を知らずに卒業していたかもしれません。
京都府立医科大学を卒業後、東京の昭和大学病院形成外科学教室へ進まれていますね。
そうですね。京都府立医科大学附属病院には形成外科の医局がなかったため、当時、形成外科領域では全国でも有数の昭和大学病院形成外科に入局しました。
同大学病院や関連病院で、さまざまな症例の経験を積んだ後、2008年からは故郷の京都に戻り、京都第一赤十字病院と京都岡本記念病院でそれぞれ形成外科の初代部長として、診療科の立ち上げにも携わってきました。
どのような症例を診てこられたのでしょうか?
形成外科とは、体の表面に生じた異常や変形などを、機能的かつ外見的(見た目)にも改善する診療科です。
20年以上の勤務医時代には、軟膏治療によって症状が改善する皮膚科的治療から、小さなできものを切除する皮膚外科手術をはじめ、私が学生時代に衝撃を受けたような、がん手術などによって失われた顔面や体の修復をする大掛かりな再建手術まで数多くの症例を経験し、研鑽を積んできました。
そして2022年5月に、滋賀県大津市の膳所駅前でクリニックを開業されましたが、何かきっかけがあったのでしょうか。
開業を考えたきっかけとしては、「これまで大きな病院で培ってきた経験を、地域医療で、患者さんにもっと近いところで提供していきたい」と考えるようになったことが大きいですね。あとは、これまでずっと勤務医としての人生しか知らなかったものですから、「自分が見ていない世界も見てみたい」と思うようになったのも理由の一つです。
この膳所駅は私の地元である京都からも近いですし、クリニックの立地も本当に駅の近くで活気のある場所です。ここしかない、とピンときて決めました。
バス停も近くにありますし、お車で来院の場合は、提携している大津モータープール、または膳所駅前公共駐車場をご利用いただけます。
お住まいが駅から離れているご高齢の方や、電車移動が難しいお子様連れの方にも気軽に受診していただきたいと思います。