良き治療、病気予防の根本にあるのは、患者さんとの信頼関係。その信念にもとづいた誠実な診療を実践
日々の診療で心がけていることを教えてください。
患者さんとお互いの信頼関係を築くことを大切にして、日々の診療にあたっています。私は、勤務医時代に重篤ながんの患者さんを数多く診てきたので、そうなる前にご自分の体を大切にして欲しいという想いを強く持っています。
ですから、たとえば、「ノドが痛い」と訴える患者さんが喫煙者なら、「タバコを控えないと、治るものも治らないよ」とはっきり言います。患者さんにしてみたら耳が痛いですよね。でも、そうした厳しいアドバイスを含めて、私という医師の言葉を信頼していただき、人間対人間のお付き合いができるような関係を築くことが、治療効果を得たり健康を守ったりする上で大切だと考えています。
もちろん、お互い人間同士なので相性はあると思いますし、ふだんの診療の中では、そうした私の想いまで伝えることが難しく、誤解を生じることもあるのですが、耳の痛い言葉の中には患者さんへの想いがあることを感じ取っていただけると嬉しいですね。
医院の雰囲気づくりで大切にしていることはありますか？
当院の建物自体は、父親の歯科医院を改装して使っているので、今どきのおしゃれな感じではないのですが（笑）、私自身は、なるべく明るく、フランクに接することで、アットホームな雰囲気を感じてほしいなと思っています。その意味では、当院が目指しているのは、おしゃれな医院というよりは、「質実剛健」ですね。見た目よりも中身が大事だという意味で、患者さんを大切にする誠実な診療に努めています。
お忙しい日々だと思いますが、休日はどのように過ごされていますか？
休日は、もっぱらヘタなゴルフかな（笑）。あとは、よく壊れる1990年代のクルマが大好きで、故障したところの中古部品を入手しては自分で直したり、ドライブを楽しんだりしています。
さいごに、今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。
この地区の地域医療をこれからも継続して担い続けなければならないと思っています。大学病院の耳鼻咽喉科に勤務している長男、次男に無理に継がせるのもどうかと思いながらも、地域医療を担う医師の重要な役割を理解してほしいという気持ちもあります。大病院だけで日本の医療は成り立っているわけではありません。いずれにせよ、次世代にも永続的な地域貢献をしていきたいと考えています。
患者さんに対しては、とにかく早め早めに受診していただきたい、ということをお伝えしたいですね。たとえば、ノドが痛いからと自己判断で鎮痛薬を飲んでしまうと、痛みも発熱もなく、「何かおかしい」と受診したときには、ノドが窒息寸前まで腫れ上がって、クリニックでは対処できずに救急車を呼ぶほどの事態になってしまうことが間々あります。
自覚症状を軽く受け止めず、早めに受診して専門家の指示を仰いでください。そのためには、やはりご自分の信頼できる医師をかかりつけに持つことが大切です。信じられる医師を見つけたら、とことん信じてみて、一緒に健康を目指すという意識を持っていただきたいと思います。