消化器内科で内視鏡技術を磨き上げ、総合診療科をはじめさまざまな科で臨床経験を積んだ後、南草津に開業
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。
15歳のときに、「驚異の小宇宙 人体」というNHKの番組を観たのがきっかけです。人体について科学的な知見から改めて捉え直し、その神秘の様を未知の宇宙に喩えて探検していくという内容で、「医学」というものにとても惹かれました。
その後、高校生のときには、オーストラリアのマーシャル医師が、胃潰瘍の原因が「ヘリコバクター・ピロリ」(ピロリ菌)であることを突き止めるために、危険を顧みず、自分自身を実験台にして科学を追求したことを知りました。「医学はすごい学問だ」と改めて感銘を受け、医師になろうと決意しました。
開業までのご経歴を教えてください。
自治医科大学を卒業後、大津赤十字病院での研修を終え、甲賀市立信楽中央病院など地域の総合病院で、総合診療科をはじめ、内科、外科、小児科など、さまざまな科で臨床経験を積んできました。
私が卒業した自治医科大学は、山間僻地や離島など医療体制の手薄な地域を支える医師を養成する学校です。そのため、総合病院とはいえ、地域のかかりつけ医として初期診療から専門的な検査や治療まで幅広い対応を求められることが多く、へき地での勤務も含めて、しばらくは全身の内科全般を診ることに徹していました。
その中で、消化器内科に卓越した上司から指導を受ける機会に恵まれたことで、消化器内科に軸足を起き、消化器内視鏡専門医※1の資格取得を経て、豊郷病院の消化器内科に勤務しました。
同病院では、胃がん、大腸がんといった消化器系のがんや慢性肝炎といった消化器疾患の診療に加えて、高血圧や糖尿病などの一般内科の診療と、幅広く携わってきました。勤務医時代には、消化器内科の専門領域はより深く、内科全般については幅広く研鑽を積めたと自負しております。
※1 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
2020年に開業されたそうですね。開業を決めた先生の想いをお聞かせください。
開業する前の5年間は、主に慢性疾患の療養やターミナルケア(終末医療)、お看取りをする療養型病院に勤務していました。学ぶことも多く、貴重な経験も積めたのですが、急性期病院で身に着けた内視鏡技術を活かして、自分の住んでいる地域の役に立ちたいという想いが強くなってきたのです。
「一つの地域に深く根を張り、地元の皆さんとともに年を重ねながら末永く地域医療を支えていきたい」と、この南草津の地に開業することを決めました。
なぜ、この場所を選ばれたのでしょうか?
私自身、滋賀県大津市の出身ですし、職場の都合でこの地域に7年ほど住んでいたこともあり、なじみがあったんです。
さらに、ここは京阪神地区で働く人のベッドタウンになっており、大学もあって、人口が増えている数少ない地域でもあります。若い人も多く活気あふれる町でしたが、総合病院はいくつもあるものの、胃・大腸の内視鏡検査を受けられる身近なクリニックが少なかったことも、この地に開業した理由の一つですね。