培ってきた頭頸部がんの治療経験をもとに、CT検査装置や超音波診断装置、漢方薬治療などを積極的に導入
現在、クリニックにはどのような患者さんが来られていますか?
お子さんから高齢の方まで、幅広い年齢の方が来院されています。症状としては、鼻水・鼻詰まり、のどの痛みといった一般的な耳・鼻・のどの病気のほか、中耳炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、突発性難聴、補聴器外来など主訴もさまざまですが、春にかけてはやはり花粉症の方の来院が多いですね。
クリニックの特徴を教えてください。
一番の特徴は、耳鼻咽喉科用のCT検査装置を導入していることですね。導入している耳鼻咽喉科クリニックはまだ珍しいようですが、診断の精度を圧倒的に高められる点で、私は必要性を実感しています。実際、他の病院で副鼻腔炎と診断された患者さんにCT検査をしたら、まったく陰影がなくただのアレルギー性鼻炎と判明したり、逆に副鼻腔炎と診断されていた患者さんに施行したら、副鼻腔がんが見つかったこともあります。
また、超音波診断装置も備えているため、頭頸部リンパ節の腫れやしこりなどがんが疑われるような病態にも、より精密な診断が可能になっています。この装置が活躍したケースはまだ少ないのですが、長らく「頭頸部がん」治療に携わってきた経験を活かし、咽頭がんや甲状腺がんなどの重大な疾患を見逃さないように努めています。
漢方薬も積極的に導入しているとお聞きしました。
はい。検査で出た異常値を元に戻す際には西洋薬が適していますが、検査値に異常がないのに不調を感じられるような場合には、漢方薬が効果を発揮することがあります。
勤務していたがんセンターでは、手術や放射線治療、抗がん剤治療などのがん治療中、冷えや倦怠感などの症状に悩まされる患者さんが少なくありませんでした。しかし、それらの症状は数値化できませんし対応する西洋薬もありません。
漢方薬をがん治療に使う医師は少ないと思いますが、私は積極的に処方し、実際に、冷えや倦怠感だけでなく、がん治療で落ちている免疫力の向上にも効果があるのを見てきました。
その時の経験から、検査で診断がつかない自覚症状でお困りの患者さんに漢方薬を使用しています。ただ、人によって相性があるので、西洋薬と漢方薬を使い分けたり、時には併用したりしながら患者さんに寄り添った診療ができるように努めています。
また近年では、花粉症が低年齢化してきており、子どものアレルギーを知りたい保護者のニーズも増加傾向にあるため、子ども向けの迅速アレルギー検査も取り入れています。指先からの少量採血で、スギやヒノキなどの5種の花粉と、イヌ・ネコ・ダニのハウスダストのアレルギーの有無が20分程度でわかる検査です。お子さんの鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどが気になる場合は、気軽に受けていただければと思います。