総合的な内科診療で健康をサポート。患者さんの悩みに耳を傾け、治療の道筋を一緒に考える医療を提供
そして今年2023年1月に、草津かわはらクリニックを開業されました。開業を決めた経緯や思いをお聞かせください。
開業を考えはじめたのは4〜5年前からです。大学卒業後の医師人生を50年とすると、ちょうど今年で半分になります。そこで、残り半分の時間で自分に何ができるかを考えたときに、「医師として地域や社会に貢献する」という選択肢を意識するようになりました。
長年の臨床や研究を通じて、内科医療全般や血液疾患に関する深い知見と経験を培うことができましたが、それを地域の皆さんに還元して、医療の面から地域に貢献したい、そう考えこの草津の地に開業するに至ります。私は京都出身ですが、結婚して以来ずっと草津に住んでおり、この地域は私にとって「第2の故郷」でもあります。
クリニックにはどのような患者さんが来院されていますか？
当院は、患者さんの健康を総合的にサポートする「総合内科クリニック」として、内科領域全般の診療を実施しています。ですので、風邪のような症状を発した方、肺や胃にちょっとした不調をお感じの方、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病の患者さん、それから血液疾患の患者さん、免疫機能の異常から全身に炎症などの症状を引き起こす膠原病の患者さんまで、毎日さまざまな患者さんがいらっしゃいます。
中でも開業して驚いたのは、膠原病の患者さんが何人も受診に来られたことです。「他の病院をいくつも受診したけれどわからないと言われた」と来院され、丁寧に問診や診察を行わせていただき、さらに採血検査を行って確定診断に至った症例も少なくありません。
また、食物アレルギー、花粉症、喘息、などのアレルギー疾患でお悩みの方が非常に多いことにも驚きました。「アレルギーかもしれないので相談したい」「症状が出て困っている」という患者さんが、お子さんから大人まで、週に何名もおみえになっています。
当クリニックでは「血液・アレルギー科」を標榜しています。あまり聞きなれないかもしれません。膠原病もアレルギー疾患も、結局は免疫の異常で発生します。そして、免疫を司る中心にいるのは白血球、すなわち血液です。源は血液にある、その思いもあって「血液・アレルギー科」を掲げました。さらに、血液の病気があると脳梗塞や心筋梗塞の発生率が上がることが最近わかってきています。私たちはともすれば直ぐに、臓器ごとに症状や病気を振り分けようとしますが、血液検査データ1枚から様々なことが見えてきます。
皆さんのお話を伺っていると、「悩んでいるけど受診を躊躇している」「どこに相談すればいいかわからない」といったお悩みを抱えている方がこんなにたくさんおられるのかと実感します。そういう方々のお力になれるよう、今後も引き続き内科全般の診療に尽力していきたいという思いを、日々強くしているところです。
日々の診療で心がけていることがありましたら教えてください。
当院では、患者さんの話をよく聞くこと、患者さんの状態やライフスタイルに応じて適切な治療法を提案し、患者さんと一緒に治療方針を立てていく、ということを大切にしています。
たとえば、当院には糖尿病の患者さんも多くいらっしゃいますが、糖尿病と一言でいっても複数のタイプがあり、状態や生活習慣など患者さんの背景によって提案すべき薬の選択肢も変わってきます。そこで、まずはじっくりお話を伺い、診断に必要な検査をしっかり行い、患者さんのインスリン分泌能や抵抗性などを確認した上で、患者さんに適切な選択肢を提示させていただきます。
それともう一つ、患者さんに信頼していただくのと同時に、他の医師からも信頼されるクリニックでありたいと思っています。「ここのクリニックやったら、患者さんを任せても大丈夫よね」と信頼していただいて、多くの先生方、医療機関と連携し、地域の皆様によりよい医療を提供していきたいと考えています。