「性感染症に悩む人を減らしたい」という理念に共感し、腎臓病、総合内科のエキスパートが、性感染症内科専門クリニックの院長に就任
はじめに、永井先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。
実は、始めに進学したのは一橋大学の法学部でした。4年生のとき「心神喪失者の犯罪」をテーマに卒論に取り組んでいるうちに、医学の世界にどんどん引き込まれていったんです。急遽、「医師になろう」と、12月に卒論を提出した後に医学部を目指して猛勉強を始め、一橋大学を卒業後、帝京大学医学部に入学し直しました。
貴院に入職されるまでのご経歴を教えてください。
医学部卒業後は、帝京大学医学部附属溝口病院で初期研修を受け、仙台の東北医科薬科大学若林病院で後期研修を受けました。研修医としてさまざまな科目を担当する中で、腎臓の領域に興味を惹かれ、その後に赴任した東京女子医科大学八千代医療センターで、検査・診断から治療まで、腎臓病全般の診療に幅広く携わり、腎臓医の資格を取得しました。その後、仙台に戻り臨床医として腎臓を含む内科全般の診療経験を積み、総合内科専門医の資格も取得しています。
腎臓病、総合内科のエキスパートとして活躍されてきた永井先生が、貴院に入職されたのには、何かきっかけがあったのでしょうか?
コロナ禍以降、梅毒の感染者数が非常に増えているという報道をよく耳にします。梅毒だけではなく、クラミジアや淋菌といった性感染症も増えている中で、“性感染症”を専門に扱うクリニックは、日本ではまだまだ数が少ないのが現状です。
「ペアライフクリニック」は、性感染症の検査・治療・予防に特化し、院内の導線を工夫したりすることで、患者さんのプライバシー保護に努めています。受診のハードルを下げることで「性感染症に悩む人を減らしたい」というコンセプトに共感し、2024年5月、横浜院の新規開院と同時に院長に就任しました。
2024年10月には、この渋谷院も開院されましたので、今は横浜と渋谷の両院に勤務しています。
性感染症は、自覚症状に乏しいことも多く、「自分には関係ない」と思っている人も多いようですね。
そうですね。性感染症の30〜40%は無症状だといわれており、感染していることに気づかずに他人にうつしてしまったり、重症化してしまったりすることがよくあります。例えば、淋菌やクラミジアは、感染したまま放置していると不妊症の原因になることがわかっています。また、梅毒を未治療で放置してしまうと動脈瘤の原因となる「心血管梅毒」や、蛋白尿や血尿等の症状をもたらす「糸球体腎炎」、脳や脊髄に感染し、麻痺などの症状をもたらす「神経梅毒」などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
ほかの病気と同様に、早期発見・早期治療がとても大切です。そうした啓蒙啓発も含めて、性感染症に向き合っていきたいと考えています。