軽症から難症例までオールマイティーに診療する皮膚科・形成外科のエキスパートが入職。親子二人三脚で患者の悩みに対応
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。
私が小学1年生のときに父が開業しました。自宅を兼ねたクリニックでしたので、しょっちゅう顔を出しては看護師さんに遊んでもらっていたんです。医療がごく身近にある環境で育ち、自然と医師を目指すようになっていましたね。高校生のときに医学部への受験を目の前にして、別の仕事に就こうかと迷ったこともありましたが、患者さんのために懸命に診療する父や、父の診察を受けて笑顔で帰る患者さんの姿が忘れられず、初心を貫き医師になりました。
東京医科大学医学部をご卒業後、形成外科に入局して経験を積まれていますね。
はい。もともと手先が器用なほうで、ものづくりが好きなんです。形成外科は、失った機能や組織を再建したり、ないものを創り出したりします。クリエイティブな要素が高く、患者さんのQOL(生活の質)向上にも貢献できるところにやりがいを感じ専攻しました。
父と同じ東京医科大学医学部を卒業し、同大学病院の形成外科に入局して、分院の八王子医療センターで形成外科医としてのイロハを学びました。その後、横浜市立大学医学部附属病院市民総合医療センターの高度救命センターに国内留学し、重症熱傷(やけど)治療や全身管理・救急医療に携わりました。
東京医科大学病院に戻った後は、事故などで切断された指の再接着、溶連菌による壊死性筋膜炎の治療、頭頸部のがんの切除後、欠損した組織や機能を耳鼻科等と連携しての再建手術、顕微鏡を用いて微小な部位を外科手術するマイクロサージャリーなど、さまざまな経験も重ねてきています。その後は、八王子医療センターで診療を続けながら、骨や人工物の露出創に対して最小侵襲の治療で傷を治すという研究で医学博士を取得しました。
約10年、形成外科医として研鑽を積まれた後、皮膚科に転向されていらっしゃいますね。
当初から父の医院を継ぐつもりでいましたので、形成外科医を10年続けたら皮膚科に転科すると決めていました。形成外科時代より当院で週1回の診療を行っていましたが、一度きちんと体系的に皮膚科を学ぼうと思い、東京医科大学の皮膚科に転局し、東京医科大学病院や関連の上尾中央総合病院、戸田中央総合病院などに勤務。湿疹や肌荒れ、アトピー性皮膚炎をはじめ、皮膚科が担当する疾患については、軽症から難症例まで、ありとあらゆる症例を診てきたという実感があります。それに加えて、形成外科医としての専門性も活かし、足の難治性潰瘍や巻き爪等の治療も含めて幅広く携わってきました。
約20年間、大学病院をはじめ、地域医療の中心を担う中核病院や救命救急センターでの臨床経験によって、地域の皆さんの医療ニーズにしっかり応えられる自信もつきましたので、今後は父とともに地域医療を支えていこうと、2023年、当院での外来を拡大しました。