消化器内科医としてキャリアを積んだ後、1か所に腰を据え一人ひとりの患者さんを長く見守りたいと開業を決意
はじめに、医師をめざしたきっかけをお聞かせください。
中高生の頃、将来について考えたときに、自分が会社という組織に属し、その中のルールに従い組織の利益のために働く、ということがまったく想像できなかったんです。マイペースな性分なので、誰かに指図されて動くような働き方は自分には向かないだろうと(笑)。
そんな私にとって、医師という仕事は「人の健康を預かるという使命のもと、さまざまな患者さんと接することで毎日新しい発見があり、ずっと高いモチベーションで従事することができる職業」のように思えたのです。今考えると、医師であろうが他のどんな仕事であろうが、情熱を持って働けるかどうかは自分次第だと思いますが……なにせ10代でしたからね(笑)。若さゆえの思い込みで突き進んだ道でしたが、今でもこうして開業医を続けていられるのだから、あの時の見立てはあながち間違いではなかったかもしれません。
開業されるまでのご経歴や、開業に至った先生の想いを教えてください。
徳島大学医学部を卒業後、地元に戻り神戸大学医学部の第二内科(現・糖尿病・内分泌内科)に入局しました。内科は、一番命と関わる分野でもあり、長期的なコントロールが必要な疾患が多いので、患者さんの生活習慣や食生活も含め、いかに総合的にマネジメントできるかが重要です。患者さんの暮らしに寄り添い、一人ひとりの患者さんを長く見守ることができる、そこに魅力を感じていました。さまざまな科をローテーションする中で、大学卒業当時は腎臓内科に興味がありましたが、最終的に恩師の勧めもあって消化器内科に進みました。
消化器には食道、大腸、胃などの消化管と、肝臓、膵臓などがありますが、私が神戸大学医学部で所属していたのは、膵臓を研究するグループでした。慢性膵炎で消化酵素が充分に出なくなった人は糖尿病を発症しますし、逆にインスリンなどのホルモンは食物の消化や吸収を修飾します。臨床診療では、兵庫県立成人病センター(現:兵庫県立がんセンター)の消化器内科で、胃がんや大腸がん、肝臓がん、急性炎症、免疫疾患など、色々な病気の診療・治療を経験させていただきました。
約14年間の勤務医時代を経て、「1か所に腰を据え、一人ひとりの患者さんともっと長く、深く関わっていきたい」という思いから、1999年、生まれ育った地元から近く、土地勘もあったここ神戸市西区で「長谷川医院」を開業するに至りました。