更新日: 2023-06-09

基本情報

名称:
さくらい内科クリニック
診療科目:
内科, 循環器内科
住所:
〒 673-0022
兵庫県明石市王子1丁目3-8 モンテ フェリーチェ1階

電話番号078-924-7111電話
する

明石市王子はJR神戸線明石駅から徒歩圏、山陽電鉄西新町駅からも近い一角である。この地に「さくらい内科クリニック」を開業した櫻井圭一院長は、神戸大学医学部附属病院の循環器内科で狭心症や心筋梗塞などの心臓・血管疾患の臨床や研究に研鑽を積んできた循環器専門医であり、県内各地の基幹病院で幅広い内科疾患の臨床経験を積んだ総合内科専門医でもある。

クリニックでは、専門性を活かした循環器疾患の診療だけでなく、「地域のかかりつけ医」として日常に起こるさまざまな病気や健康相談にも対応しており、そのていねいな対応とわかりやすい説明で患者からの信頼も厚い。また、櫻井院長自身の家族介護の体験をもとに、訪問医療や高齢者のケアにも熱心に取り組んでいる。「患者さんだけでなく、その家族も地域の人も、みんなが笑顔になってほっこりできる医療を提供したい」と穏やかに語る櫻井先生に、医師を志したきっかけや、地域医療に身を捧げる現在の心境についてお話しいただいた。

循環器専門医として心臓・血管疾患の治療、研究に研鑽を積んだ後、「困っている人を助けたい」と明石市王子に開業

最初に、先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。

櫻井先生の写真

医師を志したのは、私がまだ子どもの頃、祖父が脳出血で倒れ、一命をとりとめたものの半身不随、ほぼ寝たきりの状態になってしまったことが大きなきっかけです。当時は在宅医療などの制度も現在ほど整っておらず、入院時の付き添い、退院後の介護など、家族にかかる負担は相当なものでした。祖父が倒れてから家族の生活が一変したことは、幼い私にもはっきりとわかりました。父は仕事を辞め、祖母、母と共につきっきりで祖父の介護をするなど、家族全員が大変な苦労をするのを目の当たりにする中で、「自分には何ができるのだろう」と子どもながらに必死で考えたことを覚えています。
 
その結論として、病気で困っている人を助けたり、病気で人が困らないようにできたりしたらいいなとの思いで、医師になろうと心に決めました。高校卒業にあたり、進路を決める際もその気持ちは揺らぐことなく香川医科大学(現香川大学)の医学部医学科に進みます。

開業までのご経歴を教えてください。

香川医科大学卒業後は地元に戻り、神戸大学医学部附属病院の第一内科(現循環器内科)に入局しました。もともと内科系に進みたいと考えていましたが、中でも循環器を選んだのは、心臓や血管疾患の多くは患者さんの生命に直結していて、ときにその処置ひとつで生死を分けることもあるというダイナミックさに惹かれたからです。たとえば、心筋梗塞を発症した患者さんの場合でも、適切な治療を早く受けることができれば元気に歩いて帰られる方がいる一方で、処置が間に合わず命を落としたり、重篤な後遺症が残ったりするような方もいらっしゃいます。そうした緊張感や責任感に大きなやりがいを感じたことが循環器内科を専攻した大きな理由ですね。
 
大学病院で研修医として勤務した後、赤穂市民病院に派遣されました。ここでは途中で建て替えがあり、循環器内科も新しく心臓カテーテル治療などに対応した設備に整えられ、必然的に、私自身もカテーテル治療をはじめ急性期の心臓疾患治療に数多く携わってきました。

大学院で研究にも携わってこられたとお聞きしました。

櫻井先生の写真

はい。さらに循環器の最新医療を学びたいと考え神戸大学大学院に進み、「心筋シンチグラフィー(心臓核医学検査)」という、放射性物質が心臓の細胞に取り込まれる様子を撮影、解析することで、狭心症、心筋梗塞、心筋症等を中心とした、多くの心臓病患者さんにおける心筋の血流やダメージの程度を評価し、予後の判定にも寄与することができる検査の研究に没頭していました。
 
狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患においては、血液と酸素が十分に届いていない状態(=虚血)になっている部位や程度を明らかにすることが治療の第一歩です。そのため、それらを客観的に評価できる心筋シンチグラフィーは、心臓病の病態評価に欠かせない検査技術となっていますし、バルーン(風船)やステントを用いた心臓カテーテル治療や冠動脈バイパス手術の適応を決める術前検査としても、とても役立っています。この時期は大学院での研究の傍ら、臨床医としても勤務したり後輩の指導医を務めたりなど、忙しくも充実した日々を過ごしていました。

大学院を離れられたあとも、各地域の基幹病院でご活躍されていますね。

大学院を卒業後は、東灘区の御影にある甲南病院に異動し内科医長を務めましたが、ここでは、循環器疾患だけでなく、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病をはじめとする一般内科領域の幅広い疾患を診るようになりました。さまざまな症例の患者さんと接することができ、開業医としての礎になる経験を積むことができたと思っています。
 
さらに、たつの市にある龍野中央病院の循環器科部長を11年間にわたり務めていた期間には、ご高齢の患者さんを診ることも多く、高齢者をとりまく医療の現実とも向き合うことになりました。

高齢者をとりまく医療の現実とはどういったことでしょうか?

一つは介護の問題です。「世話をできる家族がいない」や「世話をする準備が整わない」といった理由で、退院できるまでに回復しても帰る先のないご高齢の患者さんが予想以上に多くいらっしゃいました。かといって介護サービスのついた施設などは常に順番待ちです。そうこうするうちに病状が悪化してしまって、結局は、慣れ親しんだ自宅へ戻ることができない。そんな現実をたくさん見てきました。
 
もう一つは、「医療機関を受診したときにはかなり病状が進行していた」という患者さんが多くいらっしゃったという現実です。「もっと早く検査や治療ができていれば、手遅れにならずに済んだのに…」と歯がゆく思うことが何度もありましたね。
 
介護の問題は「祖父の世話をめぐって私の家族が体験したこと」に構造が似ていますし、適切な時期に適切な治療がなされず病状が悪化してしまった患者さんの姿は、仕事が忙しいために脳出血で倒れるまで高血圧の持病を満足に治療できていなかった祖父に重なります。こうした現実を前に、私の中で、「何とかしたい。困っている人を助けるためにもっと自分にできることがあるのではないか」という思いが日増しに大きくなっていきました。

そういった体験や思いが、先生が開業を考えるきっかけになったのですね。

まさにその通りです。ご家族の負担を減らすことができる訪問看護や介護サービスを含めた在宅医療の必要性や、病気が進行・悪化しないための予防医学の重要性、こうした私の思いをしっかり届けるためには、「より地域に根ざした医療、より患者さんに寄り添った医療」が適していると考え、開業することを決めました。
 
龍野中央病院を退職後は、訪問医療・地域医療に力を入れている医療機関に勤務して準備を整えたあと、この明石、王子の地にご縁をいただき「さくらい内科クリニック」を開業するに至ります。

さくらい内科クリニックの外観の写真
花びらがハート形のロゴマークは、「みんなが笑顔になれるように」という院長の願いが込められている
さくらい内科クリニックの院内の写真
白色で統一された中に観葉植物のグリーンがアクセントになった待合室