呼吸器内科のエキスパートとして、大学病院並みの質の高い診療を提供。地域医療の拠り所を目指し、患者さん本位の診療を実践
原内科医院の院長に就任されるまでの経緯を教えてください。

群馬大学医学部を卒業後、同大学医学部付属病院の呼吸器・アレルギー内科に入局して長年勤務していました。途中、社会人大学院で研究にも携わり、海外留学も経験しています。
呼吸器内科領域の幅広い疾患に携わってきましたが、特に、気管支喘息については、患者さんを診療しながら基礎研究にも取り組み、専門性を深めてきました。
さらに、肺胞(空気を取り込む袋)の壁「間質」にいろいろな原因で炎症が起き、息切れや咳などの症状があらわれる間質性肺炎についても専門的な知見を積んできました。中でも膠原病に合併する間質性肺炎については、相当数の患者さんの診療にあたってきましたので、かなり造詣が深まったと思います。
また、呼吸器は心臓などの循環器とも密接に関係しているため、心不全の診療など循環器についても研鑽を重ねてきましたので、幅広い疾患の診療経験を積めたと自負しています。
2024年4月に医院を継承されたそうですね。
いずれは父の医院を継ぐつもりではいたものの、大学病院では、研究や臨床を通して専門分野での知見が深まることに面白みを感じていましたし、役職も与えられて後輩の臨床指導にも取り組むなど、非常に充実していました。ですので、実は、継承することを迷っていた時期もあったんです。
それでも、将来のことをよく考えてみると、研究や管理職よりも臨床の現場で患者さんを診療するほうが私の性分に合っていますし、父も高齢になってきましたので、初志貫徹で医院の継承を決断しました。


どのような患者さんが多く来院されていらっしゃいますか?

父は、脂質異常症の知識や臨床経験が豊富で、30年以上も糖尿病や高血圧を含めた生活習慣病や心臓疾患を診療してきましたので、父の患者さんにはそうした疾患の方が多いですね。年齢は70代、80代のご高齢の方が多いでしょうか。
私が院長に就いてからは、専門としてきた気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、睡眠時無呼吸症候群などに罹患している30~50代の若い患者さんが増えています。
また現在、私は当院での診療の他に、伊勢崎佐波医師会病院や群馬大学医学部付属病院などで呼吸器内科の専門外来を受け持っています。それらの病院で私が診療した間質性肺炎の患者さんなどが、経過フォローのために当院に通院しているというケースも増えていますね。
今後、特に力を入れていきたい診療についてお聞かせください。
地域のかかりつけ医として、風邪や腹痛といったよくある症状を含めて、幅広い病気や年齢の方を診療していくのはもちろんのこと、私が専門とする呼吸器疾患については、特に力を入れていきたいですね。とりわけ、この地域には呼吸器内科専門の先生がまだ少ないので、少し離れた地域の方々も含めて、お役に立てるような存在になりたいと思っています。
呼吸器疾患の中でも悩んでいる患者さんが多い気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、睡眠時無呼吸症候群はもちろん、間質性肺炎などのびまん性肺疾患、非結核性抗酸菌症などの感染性疾患など専門性の高い疾患についても、患者さんに身近な場所で大学病院に準ずるような質の高い診療の提供に努めています。
先生のご専門である気管支喘息、COPDについて、どのような診療が受けられますか?

気管支喘息については、診断に必要な「肺機能検査」、「呼気NO(一酸化窒素)濃度測定検査」を当院で実施しています。問診・検査を経て診断の結果、治療が必要であると判断した場合には、基本的には吸入ステロイド薬の治療となりますが、私が直接、薬の吸入指導を行いながら、患者さんと二人三脚で治療に取り組んでいます。
また、重症の気管支喘息に対しては、生物学的製剤を使用した治療法もあり、当院でも少しずつですが、重症喘息の治療を始めています。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)については、未診断の潜在している患者を発見して診断をつけ、治療に結びつけることが大切だと感じています。当院の患者さんでも、息切れの症状があるのに「年のせい」だとして見過ごされ、当院で診察したらCOPDだったという方が少なくありません。そのため、症状を確かめるためのアンケートや肺機能検査を受けていただくことで未診断の方の発見につなげ、治療に進むという取り組みを始めています。
COPDの治療は、吸入薬を中心とした薬物療法が基本となり、重症の場合には在宅酸素療法を併用することもあります。また、COPDの患者さんは心臓への負担が大きく、心疾患を合併するケースが少なくありません。
当院では、循環器の知識も活かし、必要に応じて心エコー(心臓超音波検査)を実施し、心機能や心臓の形態を詳しく評価しています。COPDに合併しやすい心疾患を含め、総合的な診療を行うことで、患者さんの健康をより幅広くサポートしております。
日々の診療で心がけていることをお聞かせください。
患者さんの話をきちんと聞いて、心配事に関心を持ち、それにしっかりと応えるということを常に心がけて診療にあたっています。
私は、世界最高峰の医療機関として有名な米国のメイヨー・クリニックに留学し、高度な医療技術に加えて、非常に卓越した患者ケアを含めた「患者さん本位の医療」について学んできました。重篤な病気を抱える患者さんの最後の拠り所ともいわれている同クリニックで学んだことを活かし、医療を必要とする地域の皆さんの拠り所となれるよう日々の診療に努めてまいります。
さいごに、今後の展望や患者さんへのメッセージをお願いいたします。

私の専門性が役立つ呼吸器関連の病気については、当院で検査から診断、治療まで提供していくことで、身近な場所で大学病院並みの質の高い医療を受けられるような環境を地域に提供していきたいと考えています。
それと同時に、大学病院をはじめとする地域の中核病院との連携強化にさらに努め、より専門的な検査や治療が必要な患者さんに対してご紹介のタイミングを逸しないよう、あくまでも「患者さん本位の医療」を提供し続ける医院を目指していきます。
ちょっとした咳や息切れでも、困ったら気兼ねなく受診してください。小さな症状にも大きな病気が隠れていることがあります。呼吸器の病気だけでなく、禁煙のご相談にも乗っていますので、気軽に受診してください。