リウマチ専門医としてさまざまな症例を診療し、研鑽を積む。早期治療で機能障害の患者を減らしたいとの想いから開業
はじめに、米本先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。
小さい頃に小児喘息を患っており、通院や急な発作で救急に駆け込んだりと病院に行くことが多かったのですが、そのとき懸命に治療にあたってくださる医療現場の方たちを見て憧れを抱いていました。その後、進路を具体的に考えるようになったとき、あらためて子どもの頃の気持ちを思い出し、自分も病気やケガを治して人の役に立つ医師を目指そうと思ったのが理由です。
群馬大学医学部を卒業後、同大学附属病院の整形外科に入局されています。どのような理由から整形外科を専攻されたのでしょうか?
学生時代にさまざまな科をまわって学ぶなかで、整形外科の治療効果がはっきりと表れやすい点に魅力を感じたんです。手術前は足をひきずってつらそうだった患者さんが、手術を受け退院するときにはスタスタと歩いて帰られるように、治療を通じて患者さんの状態が目に見えてよくなるのが分かるところに強いやりがいを感じました。
また、学生時代に軟式テニスなどのスポーツをしていたので、周りにケガや関節痛などのスポーツ障害で治療を受ける人がたくさんいました。そうした面でも整形外科が身近な診療科だったというのも理由の一つです。
大学病院で主に診てこられた症例について教えてください。
入局後、7年ほどは前橋赤十字病院や利根中央病院などの関連病院で、一般的な整形外科疾患の診療を担当しました。患者さんは若い方から高齢者まで幅広く、膝や腰の痛み、打撲、捻挫、外傷の治療や骨折の手術など、さまざまな経験を積んで基本的なスキルを身につけました。その後、大学病院に戻り、専門である関節リウマチをはじめとするリウマチ性疾患を中心とした診療に携わりました。
大学病院には、一般的な治療を受けてもなかなかよくならなかったり、手術が必要だったりする症状の重い患者さんが多く、合併症を発症されている方の場合は他の診療科と連携しながら治療することもありました。勤務の傍ら群馬大学大学院にも進み、関節リウマチの薬物治療の効果判定に関する臨床研究で学位を取得しています。リウマチチームの一員として、診療だけでなく後進の育成をしたり、病院講師、医会長なども務めさせていただき、研鑽を積みました。
その後、2019年に井上病院に移籍し、副院長を務められました。
大学病院には約13年間在籍し充実した日々でしたが、診療に十分な時間を割けないこともあり、もっと患者さんと向き合って診療に専念したいという想いが強くなり、井上病院に移りました。
井上病院は整形外科とリウマチ科に特化した専門病院で、リウマチの患者さんが非常に多く来院されています。私もさまざまな症状のリウマチ患者さんを治療しながら知見を深め、整形外科の診療と合わせて経験を積むことができました。
第一線で手腕を振るわれてきた先生が開業を決意された理由をお聞かせください。
大学病院や専門病院には、すでに症状が進行して関節が大きく壊れてしまった患者さんが多くいらっしゃいます。そういった方を手術で治療するのも大切ですが、「もっと早い段階から診断をつけて治療し、手術が必要になる患者さんを少しでも減らしたい」という想いがふくらむようになりました。そのためには、症状が進む前に診断して治療をスタートすること、薬物治療だけではなくリハビリテーションなども含めて多角的な医療を提供し、将来起こり得る変形や機能障害の可能性をできるだけ低く抑えるようにすることが必要です。今後は、これまでに培った知識と経験を活かし、自分の考える医療を実践したいと考え、開業を決意しました。