祖父と父の姿に憧れ医師の道へ。大学病院で外科医として多様な経験を積み、地域医療のバトンを継承
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。
この近藤クリニックは1980年に祖父が開院し、そのあとを父が継ぎました。その2人を間近で見て育つ中で、医師として患者さんに親身に接し治療にあたる2人の姿に憧れるとともに、治療を受けてよくなっていく患者さんの様子などに感じ入り、私も医師になって人を助けたいと思うようになりました。そして川崎医科大学に進学し、卒業後は同学の総合医療センターに勤務しました。
2年間の初期研修を経て外科を専攻し、同センターの外科(現・川崎医科大学総合外科学教室)に入局されました。外科を専攻された理由を教えていただけますか?
私は切ったり縫ったりといった外科の手技が好きでしたし、外科医に対する憧れもありました。また、学生時代に外科の先生によくしていただいたご縁もあって外科医の道を選び、当院を継承するまで同センターで外科専門医としての研鑽を重ねました。
同センターで主に携わったのは心臓血管外科の領域で、大動脈瘤や狭心症、心臓弁膜症、大動脈解離などの心臓疾患に対し、開腹・開胸など外科的手術を中心にカテーテル治療まで数多くの経験を積んできました。また、同センターでは外科専門医としての研修ということで、消化器外科や救急医療、集中治療などにも携わりました。消化器外科では、虫垂炎や胆嚢炎、胃がんや大腸がんなど、さまざまな症例に対し開腹手術や内視鏡(腹腔鏡)手術を行い、治療技術を習得してきました。
大学病院や総合病院では専門分野が細かく分かれており、各分野のスペシャリストが連携しながら治療することが多いです。一方で、地域医療を担う町のクリニックは、患者さんの疾患や症状の発生部位によらず、総合的に診療にあたる全人的医療が求められます。同センターで培った多様な臨床経験と技術は、当院で地域の皆さんに医療を提供するにあたり、非常に貴重な学びになったと感じています。
そうして外科医療の第一線で臨床に携わったのち、2021年に近藤クリニックを継承されました。
先ほどもお話ししたように、当院は祖父が開院したのですが、もともと外科の勤務医であった祖父が地域の方々から熱いご要望を受け、開業することになったという経緯があります。その祖父と2代目の父がつないできた地域医療のバトンを受け継ぎ、この久米南町、ひいては県中央部の地域医療に貢献したいという想いは以前から持っていましたが、父が病気を患ったことで継承を決めました。
なお、継承した現在も、同センターの非常勤医師として週1回勤務しています。主に担当しているのは心臓手術や一般外科手術ですが、内視鏡検査や超音波(エコー)検査などについても携わり、勉強を重ねています。