「患者さんのためになること」を診療のモットーに、生活の質の向上に貢献。“事実に厳密な姿勢”を貫き、的確な診断と早期治療を目指す
日々の診療で大切にしていることはありますか?

やはり、一番大切にしているのは「患者さんお一人おひとりのためになること」です。町の耳鼻咽喉科で扱う疾患は、生活の質(QOL)に大きく影響するものが多いんです。だからこそ、患者さんが「つらい」と感じている症状をどれだけ和らげてあげられるかが、私の役割だと思っています。
薬の使い方ひとつをとっても、「できるだけ薬に頼りたくない」という方もいれば、「早く治したいから積極的に薬を使いたい」という方もいる。そうした希望や生活スタイルを丁寧にくみ取りながら、その方にとって最も良い形で症状を改善できるよう努めています。そして、もう一つ大切にしているのは「事実に対して常に厳密であること」です。
「事実に対して厳密であること」というのは、どういうことでしょうか?
たとえば、「のどが痛い」と訴える患者さんが来院されたとき、私はまず、その症状の“原因となっている事実”をしっかり突き止めたいと考えています。診察のうえで咽頭炎や扁桃炎などの所見があれば、その事実に基づいて診断する――それが医師のあるべき姿だと思うんです。
きちんと診察もせずに、「のどが痛い? 風邪かもしれないね」と決めつけてしまうのは、事実に対して厳密ではありません。もちろん、初期診療の段階で一度で正確な診断がつくとは限らないので、可能性のある病気を想定しながら治療を進め、経過を見て必要に応じて次の対応を考えることもあります。それでも常に、「なぜこの症状が起きているのか」という事実を突き止めようとする姿勢を持ち続けることが大切です。診療とは、そうした地道な探究の積み重ねだと思っています。
ちなみに、医学書の中では、岸本忠三先生の『なぜかと問いかける内科学』が座右の銘のような本です。
お忙しい日々だと思いますが、休日はどのように過ごされていますか?
妻が5年ほど前にがんで亡くなったんです。元気な頃は年に1、2回はヨーロッパなどへ一緒に旅行していたのですが、妻を失ってからはぽっかりと心に穴があいたようで、しばらくは何をしていいのか分からなくなってしまいました。私はずっと“妻の目を通して世界を見る”というスタンスで生きてきましたからね。
それでも、三回忌を終えた頃に「このままではいけない、少しでも前を向こう」と思うようになり、妻の闘病中に自宅で開いていた音楽会を再び始めました。プロの演奏家の方をお招きして、音楽を通して人とつながる時間を持ったりもしています。
また、自分の考えを外に発信することにも力を入れています。本を書いて出版したり、ラジオ番組に出演させていただいたりして、医療を通じて人々の暮らしをより良くするためのメッセージを伝えたいと思っています。いつか医療行政にも何らかの形で関わり、患者さんがより幸せに生活できる社会づくりに貢献できたらと考えています。もっとも、政治家になるほどの体力はありませんけどね(笑)。
さいごに、読者へのメッセージをお願いいたします。

最近は、中耳炎により発熱している患者さんもいらっしゃいますが、風邪と間違えられてしまうことも少なくありません。「風邪だと思っていたけれど、なんだか心配」というときは、ぜひ一度いらしてください。耳・鼻・のどの診察からわかることはたくさんあります。
私にできることは限られていますが、体の不調を抱えている方が一日でも早く元気を取り戻し、日常生活に戻れるようにサポートしていきたいと思っています。心そのものを癒やすことは難しいかもしれませんが、心の土台となる“体の健康”を支えることは、医師としてできる最大の貢献だと考えています。
地域の皆さんが安心して相談できる“かかりつけの耳鼻咽喉科”として、これからも一人ひとりの健康を支えていきたいと思います。どうぞ気軽にご相談ください。