糖尿病、高血圧、脂質異常症、甲状腺疾患の専門診療を提供。迅速検査と丁寧な個別診療で地域医療を支える
現在は、どのような患者さんが来院されていますか?

最も多いのは糖尿病の患者さんです。続いて、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症といった生活習慣病や甲状腺疾患の患者さんが多く来院されています。
高尿酸血症の方は、足や手の激しい痛みといった痛風の発作をきっかけに受診されるケースが目立ちます。それ以外の疾患では、職場や地域の健康診断で血液検査の異常を指摘され、「専門医がいるクリニックを」と当院を受診される方が多い印象です。
患者さんの年齢層は比較的若めで、50代〜60代の働き盛りの方が中心です。仕事をしながら通院されている方も多く、県外から通院される方も少なくありません。福島県、茨城県、埼玉県など、遠方から継続的に通ってくださる患者さんもいらっしゃいます。
貴院が得意とされている専門診療についてお聞かせください。まず、糖尿病ではどのような診療が受けられますか?
糖尿病は、血糖値が慢性的に高くなる病気ですが、その種類はさまざまです。1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠中に発症する妊娠糖尿病、肝炎やホルモン異常などによる二次性糖尿病などがあり、原因や治療方針も異なります。
当院では、院内で血液検査を迅速に行える体制を整えており、受診当日に糖尿病のタイプを判定し、治療や入院の必要性をその場で判断することが可能です。たとえば、2型糖尿病の軽症であれば、まずは食事療法や運動療法を中心に始め、中等症以上であればその日のうちにインスリン注射などの薬物療法を開始します。特に2型糖尿病では、生活習慣の見直しが重要です。そのため、希望する方には糖尿病療養指導士の資格を持つ看護師がチーム医療の一員として関わり、患者さん一人ひとりの生活背景や状態に合わせた個別診療を行っています。
また、ホルモン異常や肝疾患などが原因となる糖尿病については、原因疾患を正確に診断・治療することで、糖尿病自体の改善や完治が期待できます。糖尿病専門医としての知見を生かし、根本的な原因にアプローチする診療にも力を入れています。
糖尿病では、緊急入院が必要になることもあるそうですね。
はい。血糖値が極端に高く、重症化している場合には、命に関わるリスクもあるため、緊急入院が必要になるケースがあります。とはいえ、実際にはお仕事や家庭の事情などで、すぐに入院できないという方も少なくありません。そのため当院では、血糖値だけでなく、血液中のケトン体や血液の酸性度(pH)なども詳細に調べ、糖尿病の急性代謝合併症(糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群など)の有無をしっかりと評価した上で、入院の必要性を慎重に判断しています。
もちろん、緊急性が高いと判断した場合には、すぐに専門の医療機関と連携を取り、スムーズに入院していただけるよう手配しています。
甲状腺疾患については、どのような診療が受けられますか?

代表的な甲状腺の病気として、「バセドウ病」があります。これは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、動悸や息切れ、手の震え、目の突出といった症状があらわれる疾患です。多くの場合、甲状腺が腫れてくるため、健康診断や他院での診察をきっかけに異常を指摘され、当院を受診される方が多くいらっしゃいます。
当院では、受診当日に甲状腺エコーを行い、甲状腺の大きさや腫れの有無、結節の有無などを詳しく確認します。加えて、甲状腺ホルモンの血液検査も迅速に行い、その日のうちに結果をご説明しています。ホルモン値が高い場合はバセドウ病、低い場合は橋本病の可能性を念頭に、丁寧に診断を進め、必要に応じて初診当日から治療を開始しています。
また、妊娠を希望されている方や不妊治療中の方の中にも、甲状腺の異常が隠れているケースがあります。そのため当院では、甲状腺ホルモンの検査に加えて、自己免疫性疾患の指標となる甲状腺自己抗体の検査も実施。抗体が陽性の場合には、妊娠の成立や維持に配慮し、必要に応じて甲状腺ホルモン補充療法をご提案しています。
甲状腺疾患も、長期間の通院が必要になることが多いのでしょうか?
甲状腺の病気の中でも、比較的患者数の多い「バセドウ病」は、適切に治療を行えば数年かけて薬の量を徐々に減らし、状態が安定すれば治療を終えることができます。
治療初期には、抗甲状腺薬による副作用のひとつである「無顆粒球症(むかりゅうきゅうしょう)」のリスクを避けるため、2週間ごとの通院で血液検査を行う必要がありますが、薬の量が減っていくとそのリスクも自然と低下します。
一方で、こうした治療の経過や終了のタイミングを知らずに、10年、20年と薬を飲み続けてしまっている方が相談に来られることも少なくありません。そのような場合でも、甲状腺診療の専門医として、今の状態を丁寧に見極めたうえで、治療の必要性や今後の方針について的確なアドバイスをお伝えしています。甲状腺の病気は自己判断が難しく、不安を抱えながら通院されている方も多いと思います。当院では、患者さん一人ひとりが納得し、安心して治療を受けられるよう心がけています。