泌尿器がんを中心に泌尿器疾患の治療に研鑽を積んだ後、「患者さんを長く見守り続けたい」と開業医に
はじめに、先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。
私の両親の口癖は「人のためになれる人」でした。まだ幼かった私に思いつく職業といえば、医者や弁護士でした。幼稚園児の頃にはすでに「医者になりたい」と言っては周囲を驚かせていた記憶があります。幸いにも成長してもその決心は揺らぐことなく、宮崎医科大学に進みました。
ご専門として泌尿器科を選択されたのには、何か理由がありますか？
手術に関われる科を考えていました。その中で、泌尿器科を選びました。というのも、泌尿器科は内科的治療と外科的治療の両面に関われる診療科であるからです。
たとえば、胃腸の病気を消化器内科で最初に診断、手術が必要な際は消化器外科に治療を引き継ぎます。循環器や呼吸器も同じように、外科手術が必要な場合は、内科から外科へと引き継ぐことがあります。その点、泌尿器科は、診断から内科的治療、外科手術、手術後のフォローまで、全て泌尿器科で担当します。一人の患者様を最初から最後まで責任を持って診察できることに魅力を感じました。
また、泌尿器科は膀胱炎などの尿路感染や梅毒などの性感染症、前立腺がん、腎がん、膀胱がん、精巣がんなどのがん、頻尿や尿もれなどの日常よくみる症状の疾患、尿路結石や精巣捻転などの救急疾患などがあり、比較的狭い範囲の専門家と思われがちですが、学問として学ぶことは広くて奥深く、とてもやりがいがあり、全身を診ることができる診療科であることも専攻した理由の一つです。
千葉大学の泌尿器科に入局され、関連病院で研鑽を積まれています。
はい。もともと私の出身が千葉ということもあり、腹腔鏡手術などで高い実績を持つ千葉大学医学部付属病院泌尿器科への入局を希望しました。多くの関連病院を回り修練を積み、泌尿器科・麻酔科を長く勉強してきました。勤務医として、船橋市立医療センターの泌尿器科で医長を務めた後、JCHO 船橋中央病院の泌尿器科では部長職も務めました。大学卒業からクリニック開業までの約 15 年間、泌尿器科の臨床医療の現場でたくさんの患者様に出会うことができました。
その間、主にどのような症例を扱ってこられたのでしょうか？
大学病院や基幹病院の勤務がほとんどでしたので、基本的には前立腺がん、膀胱がん、精巣がんなどの「がん治療」に携わることが多かったです。腹腔鏡手術はじめ、開腹手術、抗がん剤治療、放射線治療、術後管理、救急外来に至るまで数多くの症例を経験し、研鑽を積んできました。がん専門だったわけではなく、良性の前立腺肥大症や尿路結石、膀胱炎といった一般的な泌尿器疾患の診療にも幅広く携わらせていただきました。
クリニック開業を決意された先生の想いをお聞かせください。
純粋に患者様と、ずっと心と心のお付き合いがしたいという思いが強かったです。勤務医の場合、病院の異動、後輩の指導、会議や事務的業務など、自分が直接担当する患者様に使える時間も少なくなります。開業医は異動もなく、自分が治療に関わった患者様を一生涯見守り続けることができます。「これからの医師人生は、地域に根差し、より患者様に近い立場に寄り添っていけたら本望である」と決心し、2018 年に当クリニックを開業しました。
