更新日: 2021-04-30

基本情報

名称:
もりやまこどもとアレルギークリニック
診療科目:
小児科, アレルギー科
住所:
〒 463-0079
愛知県名古屋市守山区幸心3丁目1507-2

電話番号052-795-2001電話
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アレルギー発症予防のため、乳児期からのスキンケアにも注力

ご専門であるアレルギー疾患で特に注目していることはありますか?

子どものアレルギー疾患は、乳幼児のアトピー性皮膚炎から始まり、その後、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などが現れる傾向があります。このように、アレルギー疾患を連鎖的に次々と発症してしまう状態を「アレルギーマーチ」と呼びます。

近年研究が進み、乳児期早期の皮膚のバリア機能の障害が、食物アレルギーをはじめとした他のアレルギー疾患の発症につながることがわかってきました。
具体的には、乳児湿疹や乾燥などが原因で肌が荒れていると、アレルゲンと呼ばれるアレルギーのもととなる物質が皮膚から体内に入りやすくなり、アレルギーが成立(経皮感作)してしまうのです。アレルゲンは、ダニや花粉といった吸入性のものから、卵や牛乳などの食物までさまざまです。食物に関しては、本来口から体内に入るものですが、湿疹のある皮膚のように別のルートから体内に入ることでアレルゲンと認識されてしまうと考えられています。

つまり、アレルギー疾患の発症やアレルギーマーチを防ぐためには、乳児期早期から皮膚のバリア機能を低下させないように肌をきれいな状態で保ち、アレルゲンの侵入を阻止することがとても大切なのです。

吉田明生院長2
アレルギー疾患の発症を防ぐためには、乳児期早期から肌をきれいな状態で保つことが重要です。

肌をきれいな状態に保つにはどうしたら良いでしょうか?

重要なのはスキンケアですね。そして、湿疹のある赤ちゃんはできるだけ早期に皮膚をきれいにしておくことも大切です。正しい治療を行うことで症状をコントロールして、湿疹が出ない状態にすることができます。

当院では、アレルギーで困っているお子さんを一人でも減らしたいとの思いから、乳児のスキンケア指導にも力をいれて取り組んでいます。せっけんの泡立て方から洗い方、保湿のポイント、湿疹のある皮膚に対するステロイド外用薬の正しい塗り方など詳しくご説明して、ご自宅でも実践していただいています。

赤ちゃんの肌にステロイド外用薬を塗ることに不安がある方もいらっしゃると思いますが、正しく適切に使用すれば安全でとても有効なお薬です。「ステロイドを塗っているけどよくならない」、「ステロイドを塗ったら一時的によくなるけど、やめるとすぐに悪化する」といった話も聞きますが、それはステロイドが効かないわけではなくステロイドの使い方に問題がある場合がほとんどです。

もしも赤ちゃんに湿疹があり痒そうにしている場合は、外用薬を塗るなど適切な処置を行う必要があるので、ぜひ受診してください。肌のトラブルに迅速に手を打ち、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなど将来的に起こり得るアレルギー疾患の発症を防いでいきましょう。

こちらでは、食物経口負荷試験をクリニック内で受けることができますね。

はい。食物アレルギーが疑われる患者さんの診断は、詳細な問診、血液検査、皮膚テスト、食物経口負荷試験を組み合わせて行っています。中でも食物経口負荷試験は、実際に原因と考えられる食物を摂取し、アレルギー症状が出るかどうかを観察する検査で、最も信頼性の高い検査です。
「血液検査で陽性だったので除去しているけど、本当にアレルギーがあるか知りたい」「原因食物の安全に食べられる量が知りたい」「食物アレルギーが治ったか確認したい」などの場合に実施しています。

一昔前まで食物アレルギーの治療は「アレルギーのある食物の完全除去」が基本でした。しかし現在では食べられる範囲内で食べて治す「必要最小限の除去」が原則になっています。この治療を行うためには、「必要最小限の除去」、すなわち安全に食べられる量を正確に把握する食物経口負荷試験と、適切な食事指導が必要になります。

当院では、負荷試験で原因食物の摂取可能量を明らかにすることで、日常の食事でも少しずつ取り入れられるように、食べても症状が出ない安全な量を摂取方法や調理法なども交えて指導しています。食物を除去するというのはお子さん本人やご家族にとっても負担の大きいことなので、一日でも早くお子さんの食物アレルギーが治るようにサポートしていきたいと考えています。

もりやまこどもとアレルギークリニックの院内(診察室入口)
診察室の扉に描かれた、可愛らしい森の動物たち