身体機能を改善するリハビリ治療に注力していきたいと開業を決意
はじめに、医師を目指したきっかけや整形外科を専攻した理由について教えてください。
父が皮膚科の開業医として地域医療に貢献していたこともあり、幼い頃から自然と、医師という職業に興味をもつようになっていましたね。子どもの頃はわからなかったのですが、父と同じ仕事をするようになって、改めて父は大変な仕事をしていたんだなと尊敬の思いがあります。
整形外科を専攻したのは、大学生時代、テニス部の部活中に負った足の怪我で整形外科を受診したことがきっかけです。
テニスの大会が間近に迫っていた時期の怪我で、試合出場を諦めきれず「できるだけ早く部活に戻りたい」と先生に相談しました。「きっと治るまで運動は禁止されるだろうな」と予想していたのですが、先生は「じゃあ、どうしたら無理のない範囲で部活動を再開できるか考えてみよう」と、私の気持ちに寄り添い、真摯に考えてくださったのです。
最終的には、治療を行いながらも、テーピングの巻き方を教えてもらい、万一の際も自分で対応できるように備えて大会に参加することができました。
この自身の経験から、患者さんに寄り添いながら機能改善に携わることができる整形外科医に魅力を感じました。また、整形外科は基本的に外傷や痛みの治癒を目指して患者さんと一緒に頑張れる科であり、機能改善で患者さんの笑顔がみられ、他の科と比べると悲壮感が少なく感じたことも整形外科を専攻した理由の一つですね。
クリニック開業までの経緯についてお話をお願いします。
愛媛大学医学部卒業後は、名古屋市立大学病院の整形外科に入局し、同病院やその関連病院で、骨折や脱臼などの急性期治療から脊柱管狭窄症(加齢や労働、病気などにより、背骨の内側にある脊柱管の中の神経が圧迫される状態)などの慢性疾患まで幅広い臨床経験を積んできました。
中でも特に多くの症例にあたったのが、肩や膝などの関節疾患です。肩なら脱臼や腱板断裂(上腕の骨と肩甲骨とをつなぐ腱が切れる状態)、人工関節治療など、膝ならスポーツによる半月板損傷、あるいは十字靭帯の損傷、高齢者の変形性膝関節症などがありますが、それらの関節疾患の診断・治療には研鑽を積んできました。
それらの経験を経て2019年3月に開業するに至った背景には、渡辺院長のどんな思いがあったのでしょうか?
多くの病院で診察・治療を行う中で、慢性疾患、特に関節疾患は手術をしなくてもリハビリで改善できたケースが珍しくありませんでした。しかし、規模の大きい総合病院では、どうしても手術がメインの治療になりがちです。リハビリで症状の改善を目指そうとしても、総合病院などでは平日の午前中しか受診できないという制約があり、時間的に通院が難しい患者さんはリハビリが思うように進まないことが多くありました。
「手術をせずにリハビリで改善できる患者さん一人ひとりに真剣に向き合い、しっかり診ていきたい」という想いから、開業に踏み切りました。