「子どものために働きたい」という想いを貫き、こころとからだの両面を診る小児科医に
はじめに、お二人が小児科医を志したきっかけをお聞かせください。
【浩院長】私も副院長も医師のいる家庭に育ったというわけではなく、「子どものために働ける仕事がしたい」と考えたのが、医師を目指したきっかけです。私の場合は、中学・高校時代が、ちょうど校内暴力が社会問題となっていたときだったんです。「思春期の子どもに向き合い、助けになりたい」と考えることが多く、医師になるなら小児科医と決めていました。
【八弓副院長】私は、子どもの頃から小児科通いが多く、「子どものお医者さんっていいなあ」と思ったのが始まりです。途中、幼稚園や学校の先生になることを考えた時期もありましたが、初志貫徹で小児科医の道を選びました。
開業までのご経歴を教えてください。
【浩院長】日本大学医学部を卒業後、小児科に入局し、小児科専門医※1資格取得後は、先天性心疾患や川崎病に併発する冠動脈疾患、心筋炎などの診療に携わる小児循環器内科を専攻しました。同大学附属病院の小児科で循環器診療に取り組みながら、CTやMRI、エコーなど心臓の画像診断の研究にも従事したほか、約1年半、ロサンゼルス小児病院に川崎病の研究を含めた留学をして研鑽を重ねてきました。
【八弓副院長】私も日本大学医学部を卒業しまして、地元の川口市立医療センターでの初期研修を経て、小児科に入局しました。同大学附属病院で一般的な子どもの病気を幅広く診療し、小児科専門医※1資格を取得しました。
※1 日本小児学会小児科専門医
八弓副院長は、子どものこころの問題の専門家でもあるそうですね。
【八弓副院長】からだだけでなく、こころも含めてトータルで診療したいという目標を持って小児科医になりましたので、勤務していた大学病院では、小児科の一般診療の他に、起立性調節障害や小児慢性疼痛などの、いわゆる小児心身症と呼ばれる分野の診療も経験させて頂きました。
さらに心身症の診療を重ねる中で、精神療法や薬物治療など精神科の知見の必要性を実感することが多くなり、2016年に日本大学医学部精神神経科に入局。うつ病や統合失調症など、主に大人の精神疾患の診療で研鑽を積み、精神保健指定医の資格を取得しました。また、睡眠障害の分野で学位研究の機会を頂き、この経験は思春期のお子さんの診療に大いに役立っています。小児科、精神神経科ともに素晴らしい恩師に恵まれ、たくさんのことを教えて頂きました。恩師の先生方への感謝を胸に、今までの経験を糧に、今後も子どもの心に真摯に向き合っていきたいと思います。
浩院長は、准教授という要職にも就かれていたそうですが、どういった想いで開業されたのでしょうか?
【浩院長】開業前の5年間、「医学教育センター」という日本大学医学部の教育部門で、「医療面接」の指導に携わる機会を多くいただきました。医療面接は、患者さんやそのご家族と良好な関係をつくり、診断や治療に必要な情報を聞き出すために非常に重要な臨床能力です。医学生や専門医を育成するという大切な役割を担っていることにやりがいを感じていた一方で、このまま臨床現場から離れてしまうことに疑問を感じたんですね。考えあぐねた結果、「臨床現場で直接、患者さんの『声』を聴いていきたい」と、自分のやりたいことが明確になり、開業することを決めました。
2020年に開業されたそうですね。この場所を選んだ理由をお聞かせください。
【浩院長】埼玉県川口市は、八弓副院長が生まれ育った場所で、私も10年ほど住んでおり馴染みがありました。また、都心へのアクセスが良いためか、子育て中のファミリー層が多いんです。お子さんが多いこの地域で、子どもたちの心身の健康と成長を支えていきたいと考えたことも、この場所に決めた理由の一つですね。