「患者とその家族の『声』を聴くこと」を大切にしながら、『我が子に受けさせたい医療』を実践
日々の診療で心がけていることはありますか?
【浩院長】常に心がけているのは、自分の子どもに受けさせたい医療を実践することです。私たちにも子どもがいますので、「我が子だったらどうするだろうか」と自問し、より良い結果につながるよう「患者さんとそのご家族の『声』を聴く」ということを強く意識して診療にあたっています。
【八弓副院長】一つ付け加えると、特に、思春期の患者さんやこころの診療においては、困りごとが起こるまで、ご家族の中でどのようなストーリーがあったのか、一つひとつお聴きしながら紐解き、困りごとの背景や、患者さん本人や家族が何を求めているのかを把握するようにしています。医院名に「ファミリー」を含めたのは、特にこころの問題については、ご本人だけでなく、家族単位で診ていくことが大事ではないかと考えたからです。ご家族の状況や実生活に添って、理想論ではなく、現実にできることを助言するよう心がけています。
明るく、居心地の良い院内からも患者さんへの思いやりが伝わってきますね。
【浩院長】ご自宅にいるような安らげる場所にしたいと思い、内装を考えました。また、お子さんたちにも喜んで来院してもらえるように、カラフルなイスを置いたり、スタッフ手作りの季節の飾りを壁にあしらったり、明るく、安心できる雰囲気になるよう心がけています。
院内の中央に置いた熱帯魚が泳ぐ水槽は、お子さんがかじりついてみていることも多く、診察を待つお子さんたちが、少しでも不安なく楽しく過ごしてもらえていれば嬉しいですね。
お忙しい日々だと思いますが、休日はどのように過ごされていますか?
【浩院長】子どもがまだ小学生なので、ドライブに出かけるなど、休日は子どもと過ごすのがストレス解消になっていますね。平日は、なるべく子どもの話を聴くようにしていまして、「こんなことに困っているんだな」と気づかされることも多く、患者さんだけでなく我が子の話にも耳を傾けなければいけないなと肝に銘じています。
【八弓副院長】日々、時間に追われていますが(笑)、その中でも、私も、子どもと話をすることが仕事への活力になっていますね。それに、職場には同年代のお子さんを育てているスタッフもいて、共通の話題で盛り上がったり、気持ちを共有できたりするので、リフレッシュできるありがたい環境だなと思っています。
今後の展望をお聞かせください。
【浩院長】まだ構想段階ですが、たとえば、長い間病院に入院しているお子さんや、ほとんど寝たきりで在宅で過ごしているお子さんたちの家庭での療養を手助けする「子どもの在宅医療」に取り組んでいきたいですね。どうしたら実現できるのか、考えるべきことは山積していますが、在宅医療は、地元に根付いた開業医が取り組むべき課題であると受け止めていますので、いずれかたちにしていきたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
【八弓副院長】神経発達症に対して薬物治療が選択肢として登場し、大学病院などの中核病院で、子どものこころを診療する専門外来が増えてきてはいるものの、困難を抱えながら苦しんでいるお子さんは、まだ地域の中に大勢いると思っています。お子さんが日常生活を送る地域の中で、教育機関や行政機関などとも連携しながら、子どものこころを支えていくという役割を果たせるよう努めてまいります。
【浩院長】「受診して安心できた」「相談してよかった」と当院にいらしたお子さんもご家族も笑顔になってもらえるように、そして、信頼していただける存在になれるようこれからも尽力してまいります。お子さんのことで心配なことがありましたらご相談ください。