新薬による認知症診療から脳卒中の術後フォロー、頭痛の専門診療まで、脳の健康をトータルサポート。3.0ステラMRIや「コンディショニングライン」によるリハビリも導入
現在、どのような患者さんが多く来院されていますか?
【海馬院長】当院では現在は特に新薬の治療導入のタイミングもあり、認知症の患者さんが多く来院されています。また、脳卒中罹患後、手術後のフォローアップや、生活習慣病の治療を目的に定期的に通院されている患者さんも多く、年齢層としては60代以上の方が中心ですね。
一方で、10歳以下のお子さんの頭部外傷や20代・30代の若い世代を中心に、頭痛を主訴として受診される方も少なくありません。また、脳ドック(自費診療)を目的に、海外を含め日本全国から多くの患者さんにお越しいただいています。
注力されている認知症の専門診療では、新薬による治療も始めているそうですね。

【海馬院長】認知症の中でもアルツハイマー病は、アミロイドβという特殊なタンパク質が脳にたまることで、神経細胞死を引き起こす病気と言われています。当院では、MRI検査はもちろん、認知機能検査、血液検査、アミロイドPET検査、脳脊髄液検査などを総合的に行い、アルツハイマー病による「軽度認知障害(MCI)」、もしくは軽度のアルツハイマー型認知症と診断された方を対象に、新薬である抗アミロイドβ抗体薬による治療を行っています。
従来の認知症治療薬は、神経細胞の間の伝達を調整することによって、今ある症状進行を和らげる薬でした。これに対して抗アミロイドβ抗体薬は、アルツハイマー病の原因になっているアミロイドβそのものを取り除く作用があります。脳にアミロイドβが溜まっていない正常脳と同じ状態に戻すことができるため、アルツハイマー型認知症の新たな治療薬として注目されています。
すでに治療を受けられている患者さんからは「物忘れが進んでないように感じる」「なんだか頭がスッキリした気がする」「治療を受けていることで生活が規則正しくなった」などの実感を頂いています。症状の進行が目立っていないという点から、進行抑制という観点では一定の手応えを感じております。今後も慎重に経過を見ながら診療を続けていきたいと考えています。
認知症の検査は一通り貴院で受けられるのですか?
【海馬院長】抗アミロイドβ抗体薬による治療を行う場合には、「アミロイドPET検査」または「髄液検査」で、脳内にアミロイドβが蓄積していることを確認する必要があります。その検査は連携している医療機関で受けていただきますが、なかでも、所沢にある画像診断専門施設では、検査依頼から1〜2週間程度でアミロイドPET検査が可能です。大学病院などでは、検査まで数週間以上待つことも少なくありませんが、当院では初診から新薬による治療開始までを最短で1週間で行うことができています。
なお、そのほかの検査については、MRIを含め当院で実施可能です。
高性能の3.0テスラMRIを導入されているそうですね。

【海馬院長】はい。3.0テスラMRIは一般的な1.5テスラMRIに比べて磁場が強く、より精密で質の高い画像が得られるのに加え、検査時間が比較的短く、特有の音も小さく、さらに開口部が広いため、狭い空間が苦手な方でも負担を感じにくい点が特長です。
当院では、人間ドックのほか、抗アミロイドβ抗体薬による治療の経過観察に活用しています。実際に、「思っていたより楽だった」「あっという間に終わった」といったお声も多く、継続的な治療・経過観察を行ううえでも、大きなメリットになっていると感じています。
また、お子さんの頭部打撲などの検査も被曝することなく、迅速で安全に検査を施行できるのもメリットの一つですね。実際、多くのお子さんが受診されています。
ごく初期のうちに認知症の兆候を発見する方法や、加齢による「もの忘れ」が認知症に移行するのを防ぐ方法はあるのでしょうか?
【海馬院長】アルツハイマー型認知症の場合、アミロイドβは50歳前後から20年ほどかけて徐々に蓄積するといわれており、症状が現れるのは70歳前後とされています。そのため、発症するまでは病的な脳萎縮が明らかでないことも多く、認知機能検査やMRI検査では「異常なし」と判断されるケースが少なくありません。
アミロイドβの影響が出始めるとされる70歳前後から、アミロイドPET検査や髄液検査を受けることで、発症するか否かを確認することはできますが、無症状な場合には同意が得られない場合や十分にこの病態と治療に精通していない医療従事者も少なくないため、患者さんに薦めてもらえないなど、難しい部分がかなりあるのが現状です。

【鈴木理事長】アミロイドβの蓄積が確認されないタイプの認知症も存在することから、「これを行えば必ず防げる」という方法があるわけではありませんが、脳の老化が始まるとされる40代半ば頃から対策を意識することで、認知症の発症リスクをかなり抑えられる可能性があるともいわれています。
基本となるのは、バランスのとれた食生活、質の良い睡眠、そして生活習慣病の予防です。アルツハイマー型認知症に限って言えば、アミロイドβの蓄積との関連が指摘されている歯周病対策や、浴室などのカビ対策も、日常生活の中で意識しておきたいポイントです。
なかでも、運動習慣は特に重要です。運動によって筋肉から分泌される物質の中には、認知症の発症を抑制する可能性があるとされているものも複数報告されています。無理のない範囲でも構いませんので、ぜひ日常生活の中に運動を取り入れていただきたいですね。
貴院に併設された通所リハビリテーション“RISING”では、「鍛錬社製のコンディショニングライン」というトレーニングマシンを導入されているそうですね。
【海馬院長】認知症予防に限らず、生活習慣病の発症や進行を防ぐうえでも運動習慣は重要です。当院では、認知症・脳卒中予防の観点から生活習慣病の診療にも力を入れていますが、「とにかく薬ありき」という考え方はしていません。どれだけ薬を服用しても、根本となる患者さんの“生活の習慣”が改善されなければ、病状は進行してしまうからです。
そこで当院では、「鍛錬社製のコンディショニングライン」というマシンを導入し、ご高齢の方でも安全で効率よく鍛えられるトレーニングを提供しています。従来の筋力トレーニングは辛い・長い・頻回に行うことイコール効果、と考えられている風潮がありますが、それとは異なり、このマシンは今自分が持っている筋肉の使い方を整えることで姿勢の歪みや体のバランスを整えます。その結果、機能改善が得られ、筋力アップに繋がるという形です。患者さんの中には、「体が軽くなったように感じる」「これまでつらかった階段の上り下りが楽になった」「肩や腰、膝の痛みがかなり軽減された」といった変化を実感される方も多く、日常生活そのものが自然なリハビリテーションにつながっていきます。
トレーニングには、専門医師、理学療法士、看護師、鍛錬マシントレーナーが連携をとりながら、一人ひとりに合わせたプログラムを作成し、結果が出るようにサポートします。介護保険のほか、一般会員としての利用も可能ですのでお気軽にご相談ください。