祖父や父のように地域医療に貢献したいとの思いから医師の道へ。消化器病専門医として研鑽を積む
はじめに、先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。

私の祖父が1946年に当院を開設し、その後、父が引き継いで代々地域医療に尽力してきました。幼い頃から医療が生活の一部にある環境で育ったことで、自然と医師という職業に憧れを抱くようになりました。
医師として働く祖父や父の姿を間近で見て、病気やケガで困っている方々が、診療を受けて元気を取り戻す姿に触れるたびに、医療の力や地域医療の大切さを実感しました。「自分もいつか、地域の皆さんの健康を守り、支える存在になりたい」——そう強く思うようになり、東邦大学医学部へ進学しました。
ご卒業後、東邦大学大森病院の第一内科に入局され、大学病院や基幹病院において消化器内科を中心に医療に従事されました。これまで診てこられた主な疾患や症例についてお聞かせください。
消化器内科は、胃、食道、小腸、大腸、十二指腸などの消化管や、肝臓、胆道、膵臓といった臓器に関連する疾患を診療する分野です。内科診療の特性上、診察や内視鏡検査、薬物療法を中心に、早期がんの内視鏡治療なども手がけています。
消化管に関する主な疾患としては、胃炎、食道炎、十二指腸炎、胃潰瘍、逆流性食道炎などの炎症性疾患から、胃がん、大腸がん、食道がんといった悪性腫瘍、さらには潰瘍性大腸炎やクローン病といった指定難病まで、非常に幅広い領域をカバーしています。また、肝炎、肝硬変、膵炎、肝臓がんなど、肝臓や膵臓に関する疾患の診療も行っています。
私は特に胃と大腸の疾患に注力し、臨床に取り組んできました。勤務先が大学病院や基幹病院だったこともあり、胃がんや大腸がんといったがん疾患に加え、潰瘍性大腸炎やクローン病といった難病の患者さんも多く担当しました。また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎など、消化器疾患全般にわたる診療に携わり、消化器病専門医・消化器内視鏡専門医としてのスキルを磨き続けてきました。
そして2014年、貴院に入職され、院長に就任されました。現在、どのような患者さんが来院されていますか?

当院では、内科、消化器内科、胃腸内科を中心に、幅広い症状や疾患に対応しています。特に「おなかの不調」を訴える患者さんが多く、消化器系の診療には力を入れています。
患者さんの年齢層も幅広く、20〜30代の比較的お若い方々は、風邪や腹痛、胃もたれ、消化不良といった急性の症状で受診されることが多いですね。一方、40代以降の患者さんでは、糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病で定期的に通院されている方が目立ちます。こうした生活習慣病は、合併症のリスクも高いため、早期発見・早期治療、そして予防の観点からも丁寧な診療を心がけています。
消化器内科の分野では、逆流性食道炎や胃炎の患者さんが多く、内視鏡検査を行う機会も多々あります。特に、検査でヘリコバクター・ピロリ菌の感染が見つかるケースも少なくなく、除菌治療を行うことで胃がんのリスクを減らすことに努めています。
逆流性食道炎の治療は、一般的にどのような流れで進めるのでしょうか?

逆流性食道炎の治療では、基本的に薬物療法と生活習慣の改善という二本の柱を中心に進めていきます。薬物療法では、胃酸の分泌を抑える薬や、胃酸を中和する薬を使用するほか、消化管の運動機能を改善する薬も用いて、食道の動きを活性化させ、胃酸や食べ物の逆流を防ぎます。患者さんの症状や体質に合わせて、薬の種類や投与量を調整し、治療効果を見ながら適切な治療を提供します。
一方で、生活習慣の改善も非常に重要です。特に食生活に関する見直しがポイントで、胃酸の分泌を促す刺激物(辛いもの、炭酸飲料、カフェインなど)や脂肪分の多い食事を控えることが求められます。また、食事の摂り方や時間も工夫が必要で、就寝前2〜3時間は食事を控える、ゆっくりよく噛んで食べる、過度な満腹を避けるなど、日常生活の中でできることを実践していただきます。そのほか、規則正しい運動や禁煙、アルコールの節制、ストレスをためない工夫も、症状の改善に大きな効果があります。
逆流性食道炎は、加齢による筋力の低下が原因になることもありますが、食生活など生活習慣上の問題によって引き起こされることも少なくありません。そして逆流性食道炎は再発しやすいため、根本的に治療し再発を防ぐためには生活習慣の改善が不可欠なのです。治療には時間がかかることもありますが、当院ではがんばる患者さんをスタッフ一同でサポートし、治療に伴走してまいります。