複数の病気を抱える患者もトータルで診療。患者も家族も納得のいく全人的医療を提供
日々の診療で大切にされていることについて教えてください。

常に心がけているのは、患者さんご本人だけでなく、ご家族の気持ちにも寄り添い、その方の立場に立って診療を行うことです。治療方針についても、医師が一方的に決めて押し付けるのではなく、患者さんやご家族と丁寧に話し合いながら、納得のいく形で進めていくことが、より良い治療結果につながると考えています。
特に認知症の診療では、ご家族のサポートが欠かせません。介護の負担が増すほど、身体的・精神的なストレスも大きくなります。そのため、診療の中でご家族の思いや不安にも耳を傾けながら、「これからどうしていくか」を一緒に考え、少しでも安心していただけるような支援を心がけています。
この地域でも高齢化が進んでいますが、高齢の患者さんを診る際に意識されていることはありますか?
高齢になると、どうしても認知機能の低下がみられたり、高血圧や糖尿病といった慢性疾患を複数抱える方が増えてきます。そのため、脳の病気だけ、あるいは内科の病気だけに注目するのではなく、患者さんの全身の状態を総合的に捉えて診療していくことが重要だと考えています。
実際、これまで大学病院などで、認知症をはじめ、アレルギー疾患や生活習慣病など、複数の疾患を同時に抱える患者さんを多く診療してきました。そうした経験を活かしながら、一人ひとりの生活背景や体調に合わせた、全人的な医療を提供していくことを心がけています。
ところで、日本家屋の外観が、とても素敵ですね。
ありがとうございます。昔ながらの日本家屋をイメージし、自然の木材だけを使用した木造建築にしました。内装も木の温もりを感じられるように設計し、いわゆる医療機関にありがちな緊張感をなるべく取り除き、リラックスして過ごしていただける空間づくりを意識しています。
「脳神経のクリニック」と聞くと、少し敷居の高さを感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、当院では一般内科の診療も行っており、どのようなご相談にも応じています。友人や親戚の家を訪ねるように、気軽に来院してもらえたら嬉しいですね。

お忙しい日々かと思いますが、休日はどのように過ごされているのですか?
サッカー観戦が好きで、よくプレミアリーグの試合を観ています。自分でプレーすることはほとんどないんですが(笑)、小学生の頃に少しやっていた程度ですね。今は、子どもたちがサッカーをしていることもあって、一緒に動画配信サービスで試合を観ながら盛り上がるのが休日の楽しみです。ゴールが決まると、家の中で大騒ぎしています(笑)。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いいたします。

私の専門である脳神経内科は、まだクリニックとしては全国的にも数が少ない領域です。だからこそ、地域の皆さまに身近な存在として寄り添いながら、認知症や脳卒中をはじめとする脳の病気の早期発見・早期治療に取り組んでいきたいと考えています。とりわけ、脳卒中の発症や再発の予防に向けた生活習慣病の管理など、日々の健康づくりの段階からサポートしていく「予防医療」に力を入れていく方針です。
また私は、患者さんやご家族と“何でも話し合える関係”を築くことを大切にしています。「もしかして病気かも?」という不安はもちろん、「年のせいかな」と思うようなちょっとした物忘れや頭痛でも、実は大きな病気の兆候が隠れている場合があります。
気になることがあれば、どんなに些細なことでも構いません。どうか遠慮なくご相談ください。丁寧なコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、一人ひとりにとって最善の治療と予防につなげていけるよう努めてまいります。