「来院された患者さんがその日のうちに少しでもよくなるように」と診療に尽力。エコー活用で精密な検査・治療も可能に
貴院にはどのような患者さんが来院されていますか？
お子さんからご高齢の方まで、幅広い年代の方が来院されます。患者さんの6割ほどは70代から80代の方で、首や腰の症状、膝など関節の痛み、関節リウマチなどを訴えてこられる方が多いですね。次に多いのは40代から60代の方で、仕事中に腰痛が出る、首が痛い、お休みの日にけがをしてしまった、といったことでおみえになる方が2割ほど。残りの2割はお子さんで、学校生活や遊び、スポーツ中のけが、ねんざや骨折などで来られるケースがメインです。
関節の痛みの場合、治療はどのように進められることになるのでしょうか？
主な治療は、痛みや炎症などを抑える内服薬の処方、ヒアルロン酸などの関節内注射、関節の可動域を広げたり周辺の筋力を鍛えるリハビリテーションです。当院の2階はリハビリテーション室で、理学療法士が在籍しており、患者さん一人ひとりに適したリハビリテーションをご提案して患者さんの症状改善をサポートします。
そのほか、薬液を注入して癒着した筋膜をはがし、痛みやしびれなどを和らげるハイドロリリース治療を行うこともあります。
そうした保存療法で症状が改善しない場合には、手術治療を検討することになります。
手術が必要となる場合は、提携医療機関である世田谷人工関節・脊椎クリニックなどにご紹介します。世田谷人工関節・脊椎クリニックは、関節や脊椎に関する疾患の治療を専門的に行っており、私も診療や手術治療を担当しています。患者さんのご希望があり調整ができれば、私自身が患者さんの手術を執刀することも可能です。
診療に際しては、患者さんの状態や治療の選択肢をていねいにご説明するよう努め、患者さんのご希望を伺いながら一緒に治療の方向性を考えてまいります。手術を行う場合も、手術後は当院で引き続きフォローいたしますので、ご安心いただければと思います。
さまざまな疾患に対応されているなかで、注力されている診療などがありましたらお教えください。
どの患者さんのどの疾患についても、「来てくださった方がその日のうちに少しでもよくなってお帰りいただけるようにしたい」との想いで診療にあたっていますが、大学病院で専門としていた脊椎疾患の診療はやはり熱が入ります。
診察や治療全般では、超音波検査（エコー）を積極的に活用しています。エコーを使った検査は患者さんのお体に大きなご負担をかけることなく、どの組織がどの程度損傷しているのかなどをより精密に確認することができます。そして、注射治療を行う際にもエコーで確認しながら施術することで、深いところにある組織などに対しても正確に刺入しやすく、安全性や治療効果がより高まります。
貴院では再生医療も行っておられると伺いました。
はい、当院ではPRP療法を行っています。これは、患者さんご自身の血液を採血してPRP（多血小板血漿）という成分を濃縮・抽出し、患者さんの患部に注入するというものです。血小板には、組織を修復したり炎症を抑える働きのある成長因子が含まれており、その成分を患部に注入することによって、痛みや炎症を和らげたり損傷した組織を修復するといった効果が期待できます。
PRP療法は自由診療で、高額な治療ですが、軽症や中等症の関節変形では特に効果が期待できます。患者さんご自身の血液成分を用いるため、アレルギー反応などの副作用を少なく抑えることができることも利点です。もしご関心がおありの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。