経験豊富な形成外科のエキスパートが、患者のニーズに応じて保険診療と自由診療を切れ目なく提供する形成外科・皮膚科・美容医療クリニックを開業
はじめに、先生が医師を志されたきっかけをお聞かせください。

子どもの頃、祖父の自転車から落ちて足をケガし、病院で縫合してもらったことがありました。さらに小学校高学年のときには、大きなテレビが突然落ちて頭に直撃し、脳しんとうを起こして病院に運ばれたこともあります。CT検査の結果、大事には至りませんでしたが、そのとき医師や看護師をはじめ病院の方々が温かく接してくださり、子ども心にとても安心したのを覚えています。
その後も、身内の死などを通じて病院に足を運ぶ機会が重なるなかで、医療が人の生活に欠かせない存在であることを実感しました。もともと「人の役に立つ仕事に就きたい」と考えていたこともあり、医師として人々に貢献したいという思いが自然と強まり、この道を志すようになったのです。
形成外科を専門とされたのには、何か理由があったのでしょうか?
医師として外科的な治療だけでなく、幅広い診療やチーム医療に携わりたいと考えていました。形成外科は、まさに多職種・多診療科と連携しながら患者さんに向き合う領域です。たとえば頭頸部や耳鼻咽喉科、口腔外科での手術後に機能や形態を再建したり、小児科と協力して先天的な異常に対応したりと、他科との関わりが非常に密接です。単に「手術を行う」ことにとどまらず、患者さんの生活の質を取り戻す医療に取り組める点に、大きな魅力を感じて形成外科を志しました。
開業されるまでのご経歴を教えてください。
東邦大学医学部を卒業後、同大学医療センター佐倉病院の形成外科に入局し、その後は大阪回生病院形成外科に赴任。あわせて約11年間にわたり、幅広い形成外科診療に携わってきました。いずれも基幹病院であったため、担当した症例は多岐にわたります。顔面神経麻痺や悪性腫瘍切除後の再建手術、褥瘡の治療、小児の多指症や口唇口蓋裂の形成術、さらにはワキガや臍ヘルニア(いわゆる“でべそ”)の手術など、機能面・整容面の両方に関わる診療を経験しました。
なかでも手術件数として最も多かったのは眼瞼下垂症の手術で、数多くの症例を積み重ねるなかで、繊細な技術と患者さんの生活の質に直結する治療の重要性を改めて実感しました。
精神神経科でも研鑽を積まれたのには、どのような理由があったのでしょうか。
形成外科は、身体の機能回復や見た目の改善を担う診療科であるため、その背景には長く精神的なつらさを抱えてきた患者さんも多くいらっしゃいます。そうした心の側面を理解しなければ、真に患者さんを支える医療は実現できないと考えました。そこで約3年間、精神神経科での診療に従事し、心理的ストレスや心の病を医学的に学ぶ機会を得ました。
この経験によって、患者さんの悩みやコンプレックスにより深く寄り添い、心身の両面からサポートする姿勢を培うことができました。形成外科医として「より良い診療を届けたい」という信念を実践に結びつける上で、非常に大きな糧となったと感じています。
形成外科のエキスパートとしてご活躍されてきた保坂先生が、開業を決意された経緯をお聞かせください。
精神神経科での研鑽を経て、大手美容外科の分院長、本院院長として診療にあたってきました。その中で常に感じていたのは、保険診療と自由診療が明確に分かれている現状への患者さんの不便さです。現行制度では両者を同日に行うと「混合診療」となり認められていないため、保険診療だけでは満足できないケースや、治療後にもう一歩踏み込んだケアを希望される方への対応に限界がありました。
そこで私は、保険診療による治療の延長線上に、患者さんの希望に応じた自由診療を柔軟に取り入れ、機能回復と美容の両面をシームレスにつなぐ医療を提供したいと考えるようになりました。その思いを形にするため、2025年6月に当院を開業いたしました。
