小児科医である父の背中を見て医師に、地域住民に寄り添った医療の提供を目指す
稲見先生が医師を志したきっかけを教えてください。
実は、私の父が世田谷の地に開業して、長きにわたり地域のお子さんを診てきた小児科医で、今も現役で働いているんです(笑)。
父は、診療以外の場面でも地元の方から気さくに声をかけられたりと、地域の方たちに慕われていて。そんな父の姿を見て育った私は、物心ついた時から「自分も地域に貢献できる医師になりたい」と思っていました。
開業までの経緯や、消化器内科を専攻した理由をお聞かせください。
大学は父と同じ日本大学医学部に進みました。
消化器内科を専攻した理由としては、超音波(エコー)をはじめ、内視鏡やCT、MRIなどの画像診断を行うことが多く、身体の外から診るだけでは分からない内臓の状態や病気を発見できることに魅力を感じたことがあげられます。特に、超音波検査は患者さんの負担が少ないですし、気になる症状があった際にすぐに検査できるところがいいですね。
また、内視鏡や超音波を用いた治療やカテーテル治療など、さまざまな治療法があるところにも大きな魅力を感じました。
大学卒業後は2年間の総合臨床研修の後、駿河台日本大学病院(現日本大学病院)や日本大学医学部付属板橋病院、横浜中央病院に勤務し、消化器内科医として消化器に関するさまざまな症例に携わってきました。その中でも、大学病院では「肝臓班」という研究グループに所属し、肝臓がんやウイルス性肝炎の検査、治療の経験を積んできました。
実のところ、医師として働きはじめた当初は開業することは考えていなかったんです。それが、大学病院や総合病院で経験を積むうちに「専門性に特化した診療だけではなく、さまざまな患者さんと出会い、その患者さんに寄り添った診療をしていきたい」と思うようになり、父からの後押しもあって、2016年に「いなみ内科クリニック」を開業するに至りました。
この地に開業された理由を伺えますか?
この「三軒茶屋」の地を選んだのには、生まれ育った地域に近いこと、そして、父が運営する「いなみ小児科」が近いことがあげられます。同じエリアであれば、小児科・内科で連携がとりやすく、また、後輩医師として父に相談したり、アドバイスをもらったりすることもできるのでは、と考えたんです。
来院される患者さんのなかには、お子さんやお孫さんが「いなみ小児科」を利用していたり、ご自身が子どもの頃に通院していたりする方もいらっしゃいます。地域住民の健康増進に親子で貢献できているとすれば、開業医冥利につきますね。