患者の痛みをなるべく早く取り除くことを第一に、正確な診断を心がける
貴院で取り入れている「オーソモレキュラー栄養療法」について教えてください。
私たちの体は、約37兆個の細胞の集合体であり、その細胞一つひとつが、毎日の食事によって摂り入れるタンパク質・糖質・脂質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素で構成されています。「私たちの体は私たちの食べた物(栄養素)でできている」、これが「オーソモレキュラー栄養療法」の基本的な考え方です。「飽食」と言われる現代は、カロリーは十分に摂れていても、糖質過多や、タンパク質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素不足に陥りやすい傾向にあります。健康診断で異常はでないが、なんとなく調子が悪い…など原因が特定できない体の不調は、よく調べてみると、「思いもよらない栄養素不足が不調と関係していた」と発覚することが多くあります。
当院では、栄養療法を熟知した医師が、血液検査データをオーソモレキュラー栄養医学的に解析し、不足する栄養素を定量補充する指導を行い、自然治癒力を最大限に引き出すアプローチで症状改善を目指しています。
「関節運動学的アプローチ(AKA)」にも積極的に取り組んでいらっしゃいますね。
はい。関節運動学的アプローチ(AKA)とは、関節神経運動学に基づき、関節の遊びや関節面の滑り回転などの関節運動の異常を改善し、痛みを解消することをめざす方法です。おもに骨盤(正確には仙腸関節)をわずかに動かす治療になります。
私と関節運動学的アプローチ(AKA)との出会いは13年ほど前のことです。当時私は、腰痛、足の痛み、頭痛に悩んでおり、さまざまな治療を試みましたが改善が見られませんでした。その時、関節運動学的アプローチのことを知り研修会に参加してみたところ、驚いたことにあんなに悩んでいた痛みの症状がなくなったんです。その後も自身の治療を兼ね研修会に参加し、研鑽を積んでいます。
また、当院には関節運動学的アプローチ(AKA)に取り組んで18年のキャリアを持つ理学療法士が在籍しており、腰痛をはじめ、股関節やひざ、首、肩の痛みやしびれといった症状に対し、従来の治療法で効果が見られない方のための選択肢の一つとしてご提案しています。
日々の診療で心がけていることを教えてください。
なるべく早く患者さんの痛みを取り除くことを第一とし、そのための正確な診断が何よりも大切だと考えています。骨や筋肉、腱、軟骨などの状態を広範囲で詳しく確認できる超音波(エコー)検査も診断に活用しています。例えば、スポーツで膝をケガした場合、一見腫れていないのに捻挫や靱帯を損傷しているケースもあります。そういった症状を超音波で診ることで、正確な診断に繋げています。子どもからご高齢者、プロのアスリートまで、来院されるすべての患者さんに常に満足度の高い治療を提供できるように、私自身も日々勉強して、治療と診断能力の向上を心がけています。
お忙しいとは思いますが、プライベートの時間の過ごし方も教えていただけますか?
大好きなスポーツはずっと続けています。最近はスキーやゴルフがメインですね。スポーツ以外では語学の勉強が趣味といえるかもしれません。最近凝っているのはフランス語です。以前来院されたフランス人の患者さんからは「発音がいいですね」と褒められたんですよ(笑)。語学の勉強を始めたのはアメリカ留学がきっかけです。現在もスポーツ選手をはじめ海外の方を診療する機会も多いので、当時身につけた英語力は今でも役に立っていますね。
さいごに、今後の展望や読者へのメッセージをお聞かせください。
当院には、子どもからご高齢者まで、それぞれ痛みやケガ、さまざまな困りごとを抱えていらっしゃいますが、インターネットなどで目にした不確かな情報に惑わされて、不適切な対応をしているケースも多く見受けられます。なるべく早く痛みのない、もしくは痛みの少ない生活を送るには、整形外科で正確な診断をつけ、適切な治療をしていくということがとても大切です。そのためにも、これまで長く整形外科の診療に携わってきた知見を基に、正確な情報を地域のみなさんに伝えていくことも重要な役割だと考えています。腰痛・膝痛・リウマチなどでお悩みの方、生涯スポーツや運動を楽しみたい方、どんな小さなことでもまずは気軽にご相談ください。