「外来診療」「入院」「在宅医療」の三本柱で、かかりつけ医として幅広い疾患に対応。病気の予防と早期治療にも注力
医院の特長を教えてください。
「外来診療」「入院」「在宅医療」を三本柱に、地域の方々にきめ細やかな医療を提供していることが大きな特徴ですね。
まず「外来診療」についてですが、当院では、内科、外科、整形外科、胃腸科、リハビリテーション科を標榜しております。来院される患者さんの主訴もさまざまで、もちろん、発熱や咳などの風邪症状で受診される方もいらっしゃいますし、一方で、「慢性肺気腫」といった在宅酸素療法が必要な患者さんの受け入れも行なっており、かかりつけ医として幅広い疾患に対応しています。
外来診療で注力されている診療について教えてください。
みなさんもご存じのように、近年、糖尿病や高血圧など生活習慣病の患者さんが増加傾向にあります。当院にも生活習慣病で通院されている患者さんが多く来院されていますが、そういった患者さんを多く診てきた経験から私は、「腎臓こそが大事な臓器、予後を左右する臓器は心臓や肺よりもむしろ腎臓」と考えるようになりました。
日本では腎臓機能が悪化した場合には「人工透析」を導入するのが主流ですが、実は欧米ではこの治療はほとんど行われません。透析治療が必要になるほど悪化する前に病気を見つけて、治療によって改善させることを重視しているのです。
当院でもその考えに倣い、早期に腎疾患を見つけて早期介入するための取り組みに力を入れています。実際、腎臓が元気に働いている患者さんは長生きしている方が多く、中には100歳を超える方もいらっしゃいますね。
病気の早期発見・早期治療が重要なのですね。
そうですね。それに加え、病気を「予防」することも大切なことであると考えています。
たとえば、当院の整形外科では、骨粗しょう症の予防のために、ビタミンDを体内で合成するために必要な日光浴と、ウォーキングや筋力トレーニングなど骨に刺激が加わる運動を勧めています。
中でも、自宅で簡単にできる予防としてお勧めしているのが「かかと落とし運動」です。立った状態からかかとを上げてストンと落とすだけの簡単な運動で、朝昼晩それぞれ10回ずつ取り組んでもらっています。
患者さんご自身でも健康への意識を高めていただくことで、症状の進行を抑えるだけでなく、病気そのものの予防にも繋がるように尽力していきたいですね。
二つ目の柱である「入院」について、どのような医療を提供されていますか?
院内には25床の療養病床があり、脳卒中や心筋梗塞といった重篤な疾患のほか、骨折、新型コロナウイルス感染後の療養など、現在も高齢の方を中心にさまざまな理由で入院されています。
10年ほど前には、100万人に1、2人にしか発症しない「クロイツフェルト・ヤコブ病」の患者さんお二人を県立広島病院と島根大学病院から緩和ケアのために受け入れることがありました。この病気はいわゆる「牛海綿状脳症」と呼ばれている若年性の疾患で、発症から約一年で亡くなるとされている難病です。
こうした末期の患者さんに対しても、最期まで「経口のアプローチ」を諦めず、患者さんの人格を尊重し、お一人おひとりに納得いただける医療を実践する。この理念をスタッフとも共有し、患者さんとそのご家族を心のこもったチーム医療で支えていく、それが当院の入院医療の特徴であり強みでもあると考えています。
在宅医療にも早くから取り組まれたそうですね。
はい。私が当院に入職した2006年から始めています。当時は在宅医療という概念がまだ明確に確立しておらず往診としてスタートしたのですが、そこから少しずつ在宅医療として体制を充実させてきました。
現在は、24時間連絡を受ける体制の確保、24時間往診・訪問看護体制、緊急時の入院病床の確保、看取りについて報告や実績があるなど、厳しい基準をクリアした医療機関に認可される「機能強化型在宅療養支援病院」に認定されています。
「困っている方のもとに、どこにでも訪問します」をモットーに、広島市南区だけではなく、当初から市内全域をカバーしていますが、やはり地域の高齢者は年々増えていると実感しますね。
在宅診療で提供している医療は、病気を治すという目的もありますが、一番は住み慣れた場所で安心して療養していただくための支援だと考えています。これからも、患者さんやご家族のお考えを尊重し、意向に沿った医療・介護を提供し続けてまいります。