内視鏡を使った診療に興味を持ち消化器内科の道へ。高度医療機関で培った内視鏡技術を地域に還元したいとの想いで開業
はじめに、医師を志したきっかけと消化器内科を専攻された理由をお聞かせください。

両親ともに開業医で、小さい頃から医師という職業を身近に感じていましたので、自然と私も同じ道を目指すようになりました。
広島大学医学部に進学し、学生のときから将来は胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査・治療を専門にしようと考えていたんです。ただ、専門を絞る前に幅広く学びたい気持ちがありましたので、JA廣島総合病院で初期研修を受けた後、内科の専門研修において実績のある聖路加総合病院で内科後期レジデントとして経験を積みました。研修医時代には内視鏡を使った診療を行う機会もあり、あらためて胃カメラ、大腸カメラの手技を磨きたいという気持ちが強くなり、消化器内科を専攻しました。
2019年には、トロント大学の関連病院であるセント・マイケルズ病院へ留学されていますね。
セント・マイケルズ病院はカナダ最大級の内視鏡センターで、さまざまな地域から内視鏡検査・治療を必要とする患者さんが集まるハイボリュームセンターです。日本ではなかなか経験できないような難治例が多い現場で学ぶ機会をいただき、臨床留学というかたちで約2年間、消化器疾患について知見を深めました。胃がんや大腸がんはもちろん、膵臓がんや胆管がん、急性膵炎合併症、総胆管結石症といった多岐にわたる疾患で難易度の高い内視鏡治療を必要とする症例に携わり、内視鏡の腕を磨き研鑽を積みました。
帰国後に入職された倉敷中央病院の消化器内科では、主にどのような疾患を見てこられたのでしょうか?
倉敷中央病院は西日本で最大規模を誇る総合病院ですので、消化器内科ではチームに分かれて専門診療にあたっていました。私は、セント・マイケルズ病院でも担当していた胆膵グループに所属し、膵臓がんや胆管がん、膵炎をはじめ、総胆管結石、閉塞性黄疸などの診療や内視鏡検査・治療を担当しました。同院は医師の人数も非常に多かったので、副医長を務めながら、若い医師に内視鏡技術を指導するなど後進の育成にも携わりました。
そして2025年3月に「広島八丁堀内科・胃腸内視鏡クリニック」を開業されました。どのような想いから開業を決意されたのでしょうか?
倉敷中央病院での勤務が長くなるにつれ、診療よりも教育が中心の業務になってきたことが理由のひとつです。自分の学びや経験を多くの医師に伝えることは重要ですし、やりがいもありましたが、その一方で、高いレベルの内視鏡技術を習得したにもかかわらず、患者さんに還元できていない状況にジレンマを感じるようになりました。やはり医師として臨床の第一線に立ち、これまで培ってきた技術を活かして直接患者さんを診られる環境に身を置きたいと思い、開業を決心しました。
当院では、内視鏡検査に不安を感じる方に寄り添い、「ここで内視鏡を受けてよかった」と思っていただけるようなクリニックを目指しています。
