最期まで患者の尊厳を守り抜き、100年先も地域から信頼される病院を目指して
日々の診療で心がけていることを教えてください。
実は、私自身、30代の半ばから40代半ばにかけて、ウイルス性脳症を発症したりなどで3回の入院経験があるんです。
中でも、一人で膨大な業務量をこなそうとして慢性的な睡眠不足の状態が続き倒れてしまったときには、食事も摂れない状況でICUに入り、鼻から胃へ栄養を送るためのチューブを挿入されました。それがとても苦しくて、私はそのチューブを手で抜いてしまったのですが、今度はチューブを抜かないようにと手をベッドに縛り付けられたのです。お風呂にも入れず、ひたすら天井を見て過ごす毎日で、非常に苦痛を伴う入院生活でした。
この経験から私は、「自分がされて不愉快だったこと、苦痛だったことを患者さんには決してしない、最期まで患者さんの尊厳を守る」と心に誓いました。それが、「患者さんの人格を尊重し、患者さんとそのご家族を心のこもった医療で支えていく」という当院の理念に繋がっています。入院の際には、この理念をご本人やご家族にお伝えし、安心して療養していただけるよう努めています。
日々診療でお忙しいと思いますが、リフレッシュ方法はありますか？
昔からクラシック音楽が好きで、時間ができるとゆっくり音に浸っています。コロナ禍前はよくオーケストラのコンサートにも出かけていましたね。感情が揺さぶられたり、心が安らいだり、とてもリフレッシュされます。最近は、ドヴォルザークを聴くことが多いでしょうか。あとは、息子たちと一緒に最近流行の歌を聴くこともありますよ。
最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。
現在は院長である父と二人で診療を行なっていますが、父も高齢になり、そろそろ次世代にバトンタッチする時期です。現在、長男が大学の医学部3年生になり、次男も医師を目指してくれていますから、今後は二人が医院を支えてくれるでしょう。
この先100年を超えても地域の皆さんから信頼され、その信頼に質の高い医療で応え続けられるよう、これからも尽力してまいります。
病に倒れる前にご自身の体調の変化に気づき、どんなことでも相談にいらしてください。患者さんとそのご家族を心のこもったチーム医療で支えさせていただきます。