地域のかかりつけ医として医業に励む両親の姿を見て医師の道へ。消化器内科医として研鑽を重ねた後、医院を継承
はじめに、先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。

当院は1978年に両親が開業し、父は外科医、母は内科医として昼夜を問わず診療にあたっていました。私はそのような環境の中で生まれ育ち、子どもの頃から両親が患者さんと真摯に向き合う姿を間近で見てきました。自然と「自分も医師になりたい」という思いが芽生え、その将来像を描くようになったのです。
貴院に入職されるまでのご経歴を教えてください。
鳥取大学医学部を卒業後、岡山大学第一内科(現・消化器・肝臓内科)に入局し、岡山大学病院、三豊総合病院、鳥取市立病院にて内科全般の診療に携わりながら幅広い経験を積みました。その後、消化器内科を専門とし、尾道市立市民病院の消化器科や岡山赤十字病院の消化器内科に勤務。食道・胃・膵臓・肝臓・胆嚢・小腸・大腸といった消化器全般を対象に、内科的診療を中心に臨床に従事してきました。
消化器内科は、胃がん・肝臓がん・膵がん・大腸がんといった悪性腫瘍をはじめ、逆流性食道炎、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、肝炎、肝硬変、脂肪肝、胆石、胆嚢炎、膵炎など、多岐にわたる疾患を診療します。なかでも私は、膵臓・肝臓・胆嚢に関する腫瘍やがんの治療に多く携わってきました。
また、検査・治療では内視鏡を数多く担当し、特に「内視鏡的逆行性胆管膵管造影術(ERCP)」に注力。口から十二指腸まで胃カメラを挿入して胆管や膵管にカテーテルを通し、X線撮影や検体採取、さらには胆管癌に対するステント留置や総胆管結石の摘出などの治療まで行うこの手技を通じ、専門性を深めてきました。
そして総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医の資格を取得して臨床の第一線で活躍されたのち、2015年に「前島外科内科医院(現・前島内科医院)」に入職、院長に就任されました。
当院は両親が開業して以来、40年以上にわたり地域の皆さんに医療を提供してまいりました。今では三世代、四世代にわたって通院してくださるご家族もおられ、その信頼に支えられてきたと実感しています。その医療を絶やすことなく継承していくのは、自分の使命だという思いを以前から抱いていました。
40歳という節目を迎え、年齢を重ねた両親の姿を見たときに、「両親が元気なうちに、この医院をしっかりと引き継ぎたい」と決意。ここから医師としての“第二の人生”を歩み始めるべきだと考えたのです。

貴院にはどのような患者さんが来院されていますか?
当院では、内科・消化器内科・総合内科を掲げ、幅広い診療に対応しています。風邪や頭痛、腹痛などの日常的な症状はもちろん、糖尿病・高血圧・脂質異常症といった生活習慣病、さらには消化器・循環器・呼吸器疾患や骨粗鬆症まで、さまざまなお悩みをご相談いただいています。
患者さんの年代も10代半ばからご高齢の方までと幅広く、多世代にわたって地域の皆さんにご来院いただいています。なかでも50歳以上の方が多く、生活習慣病や慢性疾患と向き合いながら、日々の健康管理を目的に通院されるケースが目立ちます。