泌尿器科と腎臓内科、両方の専門医資格を取得。臨床に研究に研鑽を重ねた後、神戸市西区に開業
先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。
もともと子供の頃から人に頼られたり、ありがとうと言われることが嬉しくて、将来は自分のしたことが感謝される仕事に就きたいと考えていましたね。ただ、私の祖母の家系には医師がいたそうで、その祖母が「孫たちの中から誰か一人くらい医者になってほしい」とよく口にしていました。幼い頃の私は「おばあちゃん孝行」くらいの軽い気持ちで「僕が医者になる!」と言っていましたね(笑)。最終的には自分の技術で病気を治し、人から頼ってもらえる職業であることに魅力を感じて、医師を志すようになりました。
神戸大学医学部をご卒業後、泌尿器科を専門に同大大学院にも進まれています。
泌尿器科は医師の中でも「なり手が少ない」とされています。そんな中、私がこの専門科を選んだのは、大学時代に所属していたクラブの顧問がたまたま泌尿器科の教授で、日本泌尿器科学会のトップでもあり、貫禄のある格好良い教授だったのですが、その先生から熱心に誘っていただいたことで、泌尿器科という分野に興味を持つようになりました。
ただ、実際に勤務してみると、内視鏡手術から大きな開腹手術まで、そして男性不妊症から腎移植手術といったように診療の幅が非常に広く、とてもやりがいのある科であると実感するようになりました。
われわれ泌尿器科の医師には、尿路感染症や尿路結石といったよくみられる症例に対応しながらも、膀胱がんなどの重大な病気を見逃さないような知識と経験が、常に要求されます。泌尿器科医としてもっと高い専門性を身につけたいと感じた私は、医師になって3年目に、出身である神戸大学の大学院に戻ってさらに学ぶ決心をしました。その後、大学院卒業までの約4年間を臨床にもかかわりながら、研究生活に費やしました。
大学院ではどのような研究をされていたのでしょうか?
実は大学院時代に選んだ研究テーマが、後の私の選択に大きな影響を与えることになります。大学院では数ある研究グループの中から腎移植のグループに所属させてもらい、大学病院で腎移植手術があれば必ずその手術に参加し、その術後管理から外来でのフォロー、そして腎移植に関係する基礎研究も同時並行で行っていました。一方、日常的な泌尿器科の診療では、排尿障害や尿路感染症などの一般的な疾患から膀胱がん・前立腺がんなどさまざまな疾患に接し、手術も含めてその診療全般に携わり研鑽を重ねてきました。
お話したとおり、大学院には泌尿器科医としての道を極めたいと進んだのですが、大学院での腎移植の臨床、研究での経験を経て腎臓内科の持つ内科的アプローチや、腎臓を中心とした全身の疾患の治療、管理に興味を持つようになりました。そこで、私の目標は少し方向転換し、「泌尿器科と腎臓内科、その両方の分野を専門に診られる医師になりたい」と考えるようになったのです。
そこで、一般内科、腎臓内科としての実務経験を求めて神明病院の内科・腎臓内科に勤務しました。神明病院では、透析療法を含むさまざまな腎臓疾患や高血圧、高脂血症、糖尿病などの一般内科診療の経験を積み、幅広い知見を得ることができました。
泌尿器科と腎臓内科、両方の専門医資格をお持ちの医師は珍しいとお聞きしました。
※ 2023年5月現在