患者が安心して治療を受けられるように担当医制を導入。体外受精の成功率を上げるために、専任の培養士が日々研鑽を積み、妊娠率の向上に尽力
日々の診療で大切にしていることはありますか?

不妊治療は、心身の両面に負担がかかるデリケートな診療です。そのため、何よりも大切なのは患者さんとの信頼関係だと考えています。
当院が主体としている自然周期法や低刺激法では、患者さんの体質や心身の状態、ご家庭の事情などを丁寧に把握し、総合的にサポートしていくことが欠かせません。そうした一人ひとりに寄り添う診療を続けることで、卵巣機能が低下している方や比較的高い年齢で妊娠を目指す方においても、より良い結果が期待できると感じています。
貴院は、基本的に担当医制を採られているそうですね。
保険診療では1か月あたりの治療回数に制限があるほか、患者さんのご都合もありますので、すべてを完全に担当医が対応するというわけにはいきませんが、患者さんとの信頼関係を築くうえで、できる限り一人の医師が継続して診療にあたるようにしています。診察から採卵、移植まで一連の過程を担当できるよう、院内でのスケジュール調整や連携を工夫しながら、安心して治療を受けていただける体制づくりに努めています。
体外受精や採卵後の培養についても、高度な体制を整えていると伺いました。
はい。当院では、体外受精の成功率を高めるために、IMSI(イムジー)という高倍率顕微鏡を用いた受精方法を採用しています。これは、通常よりも詳細に精子を観察し、形態の良い精子を選んで受精に使用する方法です。
また、採卵後の卵子や精子、受精卵を育てる培養環境にも力を入れています。専任の培養士が最新の知見を取り入れながら日々研鑽を重ね、出産率の向上を目指して取り組んでいます。
お子さんを授かるまでの過程では、不妊治療・採卵・受精・培養といった一つひとつの工程が密接に関わっています。そのどこか一つでも疎かになってしまうと、結果に影響が出てしまうんですね。だからこそ、患者さんにも治療の意味や流れをしっかり理解していただき、同じ目標に向かって二人三脚で取り組むことを大切にしています。
お忙しい日々だと思いますが、休日はどのように過ごされていますか?
クラシック音楽を聴くのが好きで、休日にはレコードをかけてゆっくり過ごしています。お気に入りの音に包まれていると、日々の慌ただしさを忘れ、心が落ち着きますね。
また、車の運転も好きで、時間があるときには家内を隣に乗せてドライブに出かけます。音楽を流しながら景色を楽しむ時間は、良い気分転換にもなっています。
さいごに、今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

不妊治療の保険適用が始まって以降、経済的な負担が軽減され、治療を前向きに考える方が増えていると感じます。当院では、タイミング法や人工授精などの一般的な不妊治療から、体外受精・顕微授精といった生殖補助医療まで、幅広い選択肢を用意しています。そのうえで、お一人おひとりの体質や生活環境、ライフステージに合わせた“オーダーメイドの診療”を大切にしています。
不妊治療をこれから始める方も、これまでなかなか結果が得られなかった方も、どうか一人で悩まずにご相談ください。専門的な視点から丁寧に診察し、パートナーの方の思いも含めながら、健やかな妊娠に向けてサポートいたします。
患者さんにとって最良の方法を一緒に見つけ、希望を現実にできるよう、これからも全力で取り組んでまいります。