循環器内科のエキスパートが院長を務める地域密着のクリニックに、小児科医が参画。かかりつけ医として、家族全員の健康を支える
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。

【山嵜院長】子どもの頃、小児喘息を患っていて、月に何度も大きな病院へ通っていました。そのたびに先生や看護師さんがとても優しく接してくださり、息苦しさや不安を和らげてくれたのを覚えています。特に主治医の先生が病気を治してくれる姿が本当に頼もしく、子ども心に「かっこいいな」と憧れを抱いたんです。
その気持ちがきっかけとなり、「自分もいつか、人の健康を支えられる医師になりたい」と思うようになりました。
【秋谷医師】私は産婦人科医だった父の影響が大きかったと思います。子どもの頃から、父の働く姿や、地域の方々から寄せられる感謝の言葉に触れて育ちました。医師会の先生方から父の仕事ぶりを褒めていただいたり、近所の方から「うちの子も秋谷先生のところで生まれたのよ」と声をかけられたりすることも多く、それがとても誇らしく感じられたんです。
いつの間にか、「自分も父のように、人の人生の節目に寄り添える医師になりたい」と思うようになっていました。
山嵜院長は循環器内科医、秋谷先生は小児神経学と児童精神科が専門の小児科医ですが、それぞれ専門に選んだ理由を教えてください。
【山嵜院長】心臓の病気は、まさに命に直結する疾患です。わずかな判断の差が患者さんの生死を左右することもあり、医師としての知識と技術、そして瞬時の判断力が試される分野でもあります。緊急時にも冷静に判断し、適切な対応で患者さんを支えられる医師でありたい。そうした思いから、自然と循環器内科を志すようになりました。
【秋谷医師】学生の頃から神経学に関心があり、学業でも得意分野でした。もともと子どもが好きだったこともあり、「小児神経」の分野に興味を持つようになりましたが、当時は専門にする医師が少なく、十分な医療を受けられない子どもたちが多いことを知り、少しでもその力になれればという思いから、小児神経学と児童精神科を専門に選びました。
貴院の院長に就かれるまでのご経歴を教えてください。
【山嵜院長】富山大学医学部を卒業後、同大学附属病院での臨床研修を経て、循環器内科に入局しました。その後、富山赤十字病院にて心筋梗塞のカテーテル治療や心不全の診療に従事し、急性期から慢性期まで幅広い循環器疾患の診療経験を積みました。
さらに専門性を深めるため富山大学大学院に進学し、心不全の病態に関する研究で学位を取得。大学院修了後は、川崎市の川崎幸病院・心臓病センターに約10年間勤務し、多数の症例を通じて臨床力を磨いてまいりました。そして2016年より当院の院長に就任し、現在に至ります。
川崎幸病院では、川崎心臓病センター長を務めていたそうですが、貴院に入職されたのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
【山嵜院長】川崎幸病院は、年間1万台を超える救急車を受け入れる「断らない救急」を掲げる、日本でも屈指の急性期病院です。私は心臓病センターで、不整脈に対するカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)の立ち上げをはじめ、冠動脈や下肢血管のカテーテル治療、心不全の診断・治療、救急対応など、循環器疾患全般の診療にあたってきました。一分一秒を争う現場で、多くの命と向き合う日々は非常に緊張感に満ちていましたが、その分だけ臨床医として得がたい経験を積むことができました。
そうした環境で研鑽を重ねるうちに、「もっと患者さんの生活に寄り添い、身近な場所で医療を届けたい」という思いが次第に強くなっていったんです。
じつは、当院は息子のかかりつけ医院でもあったので、以前から親しみを感じていました。地域に暮らすご家族の健康を継続的に支えるクリニックでありながら、同法人内に先端医療を担う病院も有している体制にも魅力を感じ、当院で新たな一歩を踏み出す決意をいたしました。
秋谷先生のご経歴と主な診療経験を教えてください。

【秋谷医師】金沢医科大学を卒業後、臨床研修を経て、国立小児病院(現・国立成育医療研究センター)小児神経科に入職しました。在籍中は、専門としていた“てんかん”を中心に、インフルエンザ脳炎・脳症や髄膜炎、発達障害など、脳や神経に関わる多様な疾患の診療に携わりました。
その後、鴨居病院小児科、獨協医科大学越谷病院小児科、東京西徳洲会病院小児医療センターなどで経験を重ね、てんかんや発達障害、不登校などの問題はもちろん、風邪や胃腸炎、感染症など一般的な小児疾患にも幅広く対応してまいりました。
秋谷先生は、2025年3月に貴院に入職されたそうですが、何かきっかけがあったのでしょうか?
【秋谷医師】小児科医になった当初、大学の教授や上司から「小児科医の幸せは、いずれ開業医として地域に根ざした診療を行うことだ」とよく言われていて、私自身もそう思っていました。お子さんやご家族と信頼関係を築きながら、成長を見守り続ける──それが小児科医として最もやりがいを感じる瞬間だと思います。
患者さんにもっと近い場所で、温かく寄り添う医療を実践したいという思いから、当院に入職しました。