父の存在と"内視鏡のゴッドハンド"との出会いに触発され、消化器病と内視鏡の専門医に。胃・大腸内視鏡検査と内科全般を診療する医院を開業
はじめに、及川先生が医師を志したきっかけと、消化器内科を専門とされた理由をお聞かせください。

10歳の頃、消化器内科医として働いていた父の病院を見学する機会があり、そのときに見た父の姿がとても印象的で、「かっこいいな」と感じたことが、医師を志すきっかけになりました。
消化器内科を専門に選んだのは、父の影響もあったと思いますが、臨床研修の中で、“幻のがん”とされていた陥凹型大腸がんを発見し、「内視鏡のゴッドハンド」や「神の目」と称される大腸内視鏡の世界的権威・工藤進英先生と出会えたことが大きかったですね。私自身、医学部で学ぶ中で、直接、臓器の状態や病変を見ることができる内視鏡に非常に興味を持ち、やりがいを感じたのも大きな理由です。
開業されるまでのご経歴や、これまでに携わってこられた診療内容について教えてください。
聖マリアンナ医科大学医学部を卒業後、昭和大学病院(現・昭和医科大学病院)にて初期臨床研修を修了し、その後、先ほども触れた工藤進英先生がセンター長を務める昭和大学横浜市北部病院(現・昭和医科大学横浜市北部病院)の消化器センターに入局しました。以降、主に胃・大腸の内視鏡検査、診断、治療に重点を置き、専門性を高めてまいりました。
特に、同センターは世界消化器内視鏡学会から「国際的優秀施設」に認定されており、国内外から高く評価されている内視鏡の研修施設です。そこで私は、工藤先生のもと、軸保持短縮法を用いた苦痛の少ない大腸内視鏡検査技術や、微細な病変も見逃さない精緻な観察法など、非常に高度な知識と技術を習得することができました。
この期間に培った経験とスキルは、現在の診療の礎となっており、開業医として一人ひとりの患者さんに丁寧な検査と適切な診断・治療を提供するうえで、かけがえのない財産になっています。
大学関連の中核病院や内視鏡専門クリニックでも、研鑽を積まれたそうですね。
地域の中核病院では、胃カメラ・大腸カメラといった内視鏡診療はもちろん、逆流性食道炎や胃潰瘍、大腸がん、肝炎といった消化器疾患全般に幅広く対応してきました。特に、北海道北見市の小林病院や秋田県の市立角館総合病院では、高齢の患者さんが多く、高血圧や肺炎など、一般内科領域の診療にも日常的に携わっていました。
その後、ご縁があって、工藤先生が特別顧問を務める東京内視鏡クリニックで診療にあたる機会をいただき、さらに白金台内視鏡クリニックでは院長としての経験も積ませていただきました。そうした積み重ねを経て、2024年6月、現在の場所に当院を開業するに至ります。
ご自身のクリニックを開業したいというお気持ちは、以前からお持ちだったのですか?
漠然とではありますが、いつかは自分のクリニックを開業したいという思いは持っていました。そのため、白金台内視鏡クリニックに勤務していた際には、診療だけでなく医院運営についても学ばせていただきました。
開業にあたっては、横浜市内にある父の医院を継ぐという選択肢もありましたが、自分自身の理想とする医療を一からかたちにしたいという気持ちが強く、内視鏡検査と内科全般の診療を柱とするクリニックを新たに立ち上げる道を選びました。
この戸塚の地は、幼い頃によく祖父と遊びに来ていた場所で、昔から馴染みがあり、自然と愛着を感じていた地域です。そんな土地に根を張り、地域に暮らす皆さんの健康を長く支えていけるようなクリニックを目指して、これからも真摯に患者さんと向き合っていきたいと思っています。

