「人のために役立ちたい。」医師を志した思いを忘れずに、愛着のある横浜の地でクリニックを開院
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。
もともと動物や植物などの生命現象を研究する生物学が好きで、人間の体の中の仕組みや病気、薬害などに関する本もたくさん読んでいましたので、興味の方向として医学と重なるところが多かったのがきっかけですね。あとは、子どもの頃から「なにか人のために役立つ仕事がしたい」と思っていたことも、大きく影響していると思います。
たくさんの診療科の中で耳鼻咽喉科を専攻した理由はなんでしょうか。
診療科によっては、例えば内科ではお薬での治療が難しい場合、外科に手術を依頼する、という分業体制になることがあります。もちろんそのようにそれぞれの専門性を活かして患者さんを診ていくことも大切ですが、耳鼻咽喉科は、診断から薬物療法などの内科的治療、そして外科的手術まで患者さんを主治医として最後まで責任を持ってしっかり診ることができます。一人の患者さんにトータルで関わることができるところに強い魅力を感じました。
さらに耳鼻咽喉科は耳・鼻・喉の病気だけでなく、口内炎や舌の痛み、甲状腺の異常、口腔がんなど、脳と眼を除く鎖骨から上の病気を治療する科であり、対象となる疾患が多岐にわたります。もともと幅広い年齢層、さまざまな疾患の患者さんを診られる医師になりたい、という思いがあったことも、耳鼻咽喉科に進んだ理由の一つです。
クリニック開業までの経緯を教えていただけますか。
信州大学医学部を卒業し、横浜市立大学附属病院で研修を終えた後、横浜南共済病院や国立病院機構横浜医療センターといった横浜市内の地域基幹病院に勤務し、中耳炎・アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎・扁桃炎・メニエール病・突発性難聴など、耳鼻咽喉科領域の代表的な疾患に対する治療や、鼻出血などに対する救急治療、扁桃摘出術などの手術治療まで幅広く経験、研鑽を積みました。神奈川県立こども医療センターや横浜市南部地域療育センターでは、小児感音性難聴や滲出性中耳炎など、小児耳鼻咽喉科領域の疾患にも数多く携わってきました。
その後は、横浜市立大学大学院医学研究科へ進み、頭頸部がん(脳と眼球、顔面皮ふを除いた鎖骨から上にできる悪性腫瘍)に対する化学療法について研究、その論文で学位を取得しています。大学院卒業後は、横浜市立大学医学部の耳鼻咽喉科・頭頸部外科で助教として勤務し、頭頸部がんを中心に臨床経験を積んできました。
大学病院での勤務は忙しくもやりがいのある日々でしたが、「もっと患者さんに身近なところで、一人ひとりの患者さんとじっくり向き合いながら、自分の知識や技術を活かした診療をしていきたい」と考えるようになり、医師になってからずっと過ごしているこの横浜の地に「さかきばら耳鼻咽喉科」を開設するに至ります。