「赤ひげ先生」のような父のサポートがしたいと医師の道へ
はじめに、先生が医師を志したきっかけを教えてください。
私の父が、患者さんの立場にたって奮闘する、人情深い昔ながらの「赤ひげ先生」のような医師だったのが大きなきっかけの一つですね。地域に密着して人々の健康を支えることで、社会貢献を実現している父の姿を見て育った私は、物心ついた時から父のサポートをしていきたいと考えるようになっていました。幼いながらに漠然とですが、医師になるのはそんなに簡単ではないと思っていて、小学校の卒業文集には「将来の夢は薬剤師」と書いていました。そんな私が、父と同じように「地域の人たちに頼られる町のお医者さん」になろうと決めたのは大学受験を控えた高校2年生の頃です。
開院までの経緯とこの地に開院された理由を教えてください。
いずれは開業して地域医療に貢献していきたいと考えていましたので、幅広く診察できる内科を専攻にしました。大学卒業後は、横浜市立大学附属市民総合医療センターや藤沢市民病院で、内科の日常的に起こる疾患から重篤な病気まで幅広く診療してきましたが、特に胃がんの早期治療や潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患についてはその道のスペシャリストの先生に師事し、診断や治療、手術に研鑽を積んできました。
その後、より患者さんの健康に寄り添える診療技術を磨きたいとの想いから当院開院まで在籍したのが、横浜市西区にある内視鏡検査専門の松島クリニックです。大腸内視鏡検査症例数において国内トップクラスの実績があるクリニックで、約4年にわたる修練の日々は私の基盤となっています。
ここでは、大腸疾患の早期発見・早期治療を目指すだけではなく、いかに患者さんに負担がない検査を行うかも重要視していて、素早く的確に、そして安全に検査をおこなえるようにと、4年間で約13000件(※1)とかなりの数の検査をこなし、その技術を磨いてきました。
そして2019年、中区で生まれ育ち、南区や西区の病院に勤務してきた私にとって大変馴染み深いこの黄金町に開業するに至りました。
患者さんはどういった症状の方が多いのでしょうか?
地域のかかりつけ医として、なんだか体がだるい・・などの身体の不調をはじめ、風邪などの急性期疾患、炎症性腸疾患や過敏性腸症候群など腸に関わる病気、肝臓の病気、健診など幅広く対応していますが、その中でも、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病で定期的に通院される方や腹痛・食欲不振・便秘など胃腸のトラブルでお悩みの方、内視鏡検査を受けに来られる方が多いですね。
年代層も幅広く20代の方からご高齢の方までいらっしゃいますが、最近はコロナ禍のストレスによる影響でしょうか、20~40代の比較的若い世代の方々が胃腸の調子をくずされて来院されることが多くなっています。そのほとんどが、検査では胃の粘膜にただれなどの器質的(組織)的な異常が見つからないのに、胃の痛みや腹部膨満感、食欲不振、胃のもたれ、胸やけなどの症状があらわれる機能性胃腸疾患で、投薬治療によって症状が改善されています。
また、さまざまなアレルギー症状でお悩みの方々のニーズにも応えられるようにとアレルギー疾患についても専門的に勉強し、アレルギー性鼻炎の治療法の一つである「舌下免疫療法」の資格も取得しました。
これは、アレルゲンが「スギ花粉」または「ダニ」の場合に、原因アレルゲンを舌の裏側から少しずつ摂取することで体をアレルゲンに慣らしていく治療で、アレルギーを根本的に治す効果が期待できる唯一の治療法です。治療を受けた方のうち9割は症状改善、もしくは症状軽快などの効果が見られます。治療を開始して数か月で効果があらわれる方もいますが、根本的に治癒するために3~5年間は継続して治療を行うことが大切ですね。