腎臓・透析の専門医として基幹病院に10年以上勤務。長時間透析との出会いで開業を決意
医師を目指したきっかけや、ご経歴をお聞かせください。
そうですね、医師になろうと思ったのは、伯父ががんにかかり、50代という若さで亡くなってしまったことにショックを受けたのが直接のきっかけです。その当時私は東京薬科大学の学生でしたが、卒業して薬剤師の資格を取得後、再度医学部を受験して医師を目指しました。多少の回り道をしたものの、もともと医師の道にも興味があったため、自分の選んだ進路に迷いはなかったです。
その後、日本医科大学医学部を卒業して、国保旭中央病院で研修医となり、最終的に腎臓内科を志しました。いくつかの診療科を経験する中で、もっともやりがいを感じ、自分に向いていると思えたことが大きな理由ですね。
その後、10年以上勤務医として研鑽を積まれていますね。
はい。自治医科大学腎臓内科に入局し、宇都宮社会保険病院(現JCHOうつのみや病院)、千葉社会保険病院(現JCHO千葉病院)では、それぞれ腎臓内科部長を務めました。腎臓病の組織検査から診断、そして透析を含めた治療全般に携わりながら、博士号や腎臓内科専門医、透析専門医などの各種資格も取得しましたが、一貫して腎臓医療の道を進んできたことになります。
開業に至った先生の想いを教えていただけますか?
一番のきっかけは、当クリニックの透析療法の特長でもある「長時間透析」との出会いです。長時間透析とは週18時間以上の透析(週3回であれば1回6時間以上、隔日透析であれば1回5時間以上)を行う透析療法のことで、1992年にフランスのCharra博士が発表した長時間透析の成果によれば、生存率などのデータにおいては当時の日本の平均の2倍近い好成績という、驚くべきものでした。
現在の日本の透析医療の水準は、世界的な平均からすると高いものの、標準透析として推奨されているのは週12時間の透析(週3回、1回4時間)です。実は、この時間数は保険診療の区分に影響も受けているため、医学的な視点で見て必ずしも理想的とは限りません。もしこの標準透析を長時間透析に置き換えることができれば、生命予後の改善だけでなく、透析患者さんの日常生活をより快適なものにできます。
患者さんの生活を第一に考えると、すぐにでもすべての患者さんに長時間透析を勧めていきたいと思いましたが、勤務医という立場ではさまざまな制約もあります。そこで、腎臓内科と透析治療を専門とするクリニックとして開業する決心をしました。
私はもともと千葉県の出身ですし、千葉県は総人口に対する腎臓の専門医の数が少ない県ということもあり、迷わずこの地での開業を目指しました。しかもここなら勤務医時代に担当した患者さんを引き続き診ることも可能です。そんな経緯で2013年にこの「あずま腎クリニック」の開業に至りました。