大学病院での経験を活かした専門性の高い診療と、地域の基幹病院との連携が強み
ご専門である関節リウマチについてお聞かせください。

関節リウマチとは、原因不明の自己免疫疾患で、免疫の異常によって関節内に慢性的な炎症が起きる疾患です。進行すると関節が破壊され、機能障害を引き起こします。関節部分の症状に加え、貧血や微熱、全身の倦怠感といった全身症状が合併することもあります。どの年代の方も発症しますが、特に30~40歳代の女性に多く発症します。
初期の頃には、両方の手足指の関節が左右対称に腫れ、特に、朝方関節がこわばるようになります。症状の重さは人それぞれですが、膝関節や股関節など大きめの関節にも影響があり、水が溜まる、動きにくくなるなど、痛みのせいで日常生活に支障が出てしまうこともあります。
早期発見・早期治療が重要だそうですね。
はい。関節リウマチは関節だけでなく全身にも影響が出る疾患です。貧血、倦怠感、微熱などの症状が現れると、悪化しやすくなってしまいます。全身の関節に対して進行していく患者さんの場合は、指や手首の関節が破壊され、指が短くなり、関節が脱臼して強く変形することがあります。加えて足の指にも変形が起こってしまいます。このケースでは、首の最上部で背骨が前にずれてしまうことによって脊髄が圧迫され、手足が麻痺し、呼吸しにくくなる危険性があり、もっとも注意が必要です。近年は治療薬の進歩により、早期に治療を開始すれば、初期段階で症状が緩和する患者さんも増えています。
リウマチ治療について詳しくお聞かせください。

リウマチの症状が消える「寛解」の状態を維持することを目標に、炎症を止める治療を行います。患者さんの状態に応じて治療を進めていきますが、基本的には抗リウマチ剤や、非ステロイド性抗炎症薬(消炎鎮痛薬)、ステロイド剤、免疫抑制剤、生物学的製剤などを用いた薬物療法を行います。補助療法として、ステロイド剤やヒアルロン酸製剤の関節内注射を行うこともあります。リハビリテーションや理学療法も有効です。場合によってはリウマチで侵されて変形した関節を人工関節と入れ替える手術を検討します。
近隣の基幹病院との連携体制を整えているそうですね。
はい。私は客員教授として今も埼玉医科大学整形外科に籍を置いており、月に2度、外来診療も行っています。手術や精密検査が必要と判断した場合や、緊急性が高い場合は埼玉医科大学など専門性の高い医療機関との間で積極的な医療連携を行っています。当院の立地も、埼玉医科大学病院とその関連病院である、総合医療センター、国際医療センター、かわごえクリニックの4つの病院の間に位置しており、教授たちもよく存じ上げているので、密にコミュニケーションを取りスムーズに患者さんを高度な医療に導くことが可能です。今後も患者さん目線の治療を第一に考え、必要な時に必要な場所で医療を受けられるようにサポートしてまいります。