末期がんの緩和ケアから認知症、生活習慣病の管理まで、24時間365日体制で診療
どのような患者さんが多いのでしょうか？
今は、末期がんで在宅療養されている患者さんが全体の半数くらいを占めています。特に、ここ１〜２年はコロナ禍で病院の感染対策が強化され、入院しても親族が見舞うことがなかなかできず、お一人で亡くなっていくという状況が少なくありません。そのため、いわゆる終末期を迎えた患者さんご本人やご家族から、「たとえそのまま亡くなってしまうことがあっても自宅で過ごしたい、看取りたい」というご要望が増えており、開院当初から末期がんの緩和ケアやお看取りの患者さんが多くおられます。
そのほかに、慢性心不全や糖尿病などご高齢で通院が難しくなった患者さんや、認知症の患者さんも多いですね。また、完全予約制ですが、外来診療の患者さんもいらっしゃいます。
訪問診療では、どのような医療が受けられるのでしょうか？
基本的に病院と同じように、血液や尿の検査、点滴、酸素療法、経管栄養法、人工呼吸器などによる治療、看護などが受けられ、入院加療が必要な場合は、近隣の連携病院をご紹介します。
当院では、末期がんの患者さんも多いので、超音波検査機器（エコー）を携帯して、例えば、末期肝臓がんで腹水が溜まってしまっている方の水をその場で抜くという処置も行っています。さらに、循環器の専門医に週１回勤務してもらっているので、心電図や心エコー検査も行えるようにしています。
往診と訪問診療の違いがよくわからない方も多いですね。
そうですね。訪問診療は、自宅で療養中の通院が困難な方に対して、2週間に１回というように計画を立て、定期的に医師が訪問して診療を行う医療サービスです。緊急時だけ自宅に来て診てほしいという場合は、「往診」をしている診療所やクリニックに頼んでいただくことになります。
ただし、往診の場合、夜間や日曜・祝日は診療しないという医院もあり、医療施設によって対応はまちまちです。訪問診療の場合は、基本的に24時間365日緊急時も含めて対応できる体制を整えているので、その点も往診との大きな違いですね。
当院の場合は、連携している多摩総合医療センターからご紹介いただいている患者さんが多いのですが、訪問診療を希望される場合は、入院先の主治医の先生や、これまで通院していたかかりつけ医、介護保険を利用されていたらケアマネジャーに相談して申し込んでいただくことになります。