更新日: 2023-04-25

基本情報

名称:
大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック
診療科目:
外科, 消化器外科
住所:
〒 530-0001
大阪府大阪市北区梅田1丁目2番2-100号 大阪駅前第2ビル1階

電話番号06-6341-5570電話
する

患者さんにかかる肉体的・時間的負担の軽減が強み。日帰り手術のメリットを存分に活かすため、安全性と利便性を高める工夫を随所に

クリニックで扱う症例について、治療の実際について伺います。まずは「そけいヘルニア」からお願いします。

田村先生の写真

【所院長】そけいヘルニアは、俗に「脱腸」とも呼ばれ、本来はおなかの中にある腹膜や腸の一部が、足のつけ根(そけい部)の腹壁の弱いところから皮膚の下に飛び出した状態のことをいいます。先天性のものを除くと中年以降の男性が発症しやすいという特徴があるものの、加齢による筋力低下などがあると、誰にでも起こり得る病気です。

放置して症状が進みやがて「嵌頓(かんとん)」という状態まで進行すると、飛び出た腸が壊死して命にかかわることにもなります。この病気には薬や運動といった治療法は効果がなく、自然に回復することもありません。しかし、比較的簡単な外科的手術で根治することができます。最新の医療で主流とされているのは腹腔鏡を用いて治療用のメッシュを留置する「Trans-Abdominal Pre-Peritoneal repair(TAPP法)」で、当クリニックの日帰り手術でも、この手法を採用しています。

そけいヘルニアの、日帰り手術までの治療の流れを簡単に教えてください。

MIDSクリニックのリカバリールーム写真
全室完全個室のリカバリールーム

【田村副院長】そけいヘルニアに関しては、当クリニックでの検査と診断も可能で、自覚症状があって来院される患者さんと、他院からの紹介で来られる患者さん、どちらにも日帰り手術による治療を提供しています。

必要に応じてエコー検査などを行い、治療方針についてしっかり説明した後、当クリニックでの日帰り手術を希望される患者さんには、血液検査や心電図検査などの術前検査を受けていただきます。この時点で日帰り手術が難しい病状である場合や、患者さん自身が日帰り手術を希望されないといった場合は、責任を持って入院手術ができる医療機関を紹介いたします。

【所院長】事前に十分にご理解をいただいて手術に臨むことが出来れば、当クリニックでは手術当日も付き添い人は不要で、患者さんご本人だけの来院で済みます。手術そのものは1時間ほどで終わりますが、日帰り手術で重要になるのはむしろ麻酔からの覚醒と術後の経過観察です。

当クリニックでは完全個室のリカバリールームを用意しており、患者さんの覚醒が不快感なく順調に進むよう、医師とスタッフでしっかりと見守ります。理想的な経過であれば、朝一番で来院して、昼過ぎには退院できる患者さんもおられます。

手術翌日には担当医師が直接患者さんに電話をかけ問診を行いますので、患者さんは来院の必要がありません。体調に問題がなければ術後2日目からデスクワークなどを再開、大半の方は術後1週間でもとの生活に復帰、といった流れが一般的です。

次に「虫垂炎」についてもご説明ください。

所先生の写真

【所院長】虫垂炎は俗称では「盲腸」と呼ばれていますが、医学的には「虫垂炎」が正しい名称です。10代~20代での発症が多く見られるものの、男女問わず全世代で発症する可能性があります。突然激しい腹痛に見舞われ病院に行った結果、急性虫垂炎と診断される例が多いですね。症状が重い場合はそのまま緊急手術となることもありますが、近年は一度抗菌薬で虫垂の炎症を抑える「保存的加療」または、保存的加療後に後日手術を行う「待機的治療」が主流となっています。

【田村副院長】当クリニックで日帰り手術の対象となるのは、この「保存的加療」や「待機的治療」を選択された患者さんのみです。というのも、虫垂炎と同様の腹痛症状は他の重大疾患が疑われる場合があり、検査設備の整った医療機関で診断を受け、虫垂炎の診断が確定している患者さんでなければ日帰り手術の安全性を確保できないからです。また、強い炎症を起こしている患者さんには、他院で検査と保存的加療を受けていただき、症状が落ち着いてから当クリニックで対応します。

紹介状を持って来院されたあとの日帰り手術までの流れは、そけいヘルニアの場合とほぼ同じ流れになります。虫垂炎は、抗菌薬で治療し痛みが治まっても25-30%程度の方が1年以内に再発するというデータもあり、受験や大切な仕事をはじめ、大切なライフイベントが控えているような患者さんが「症状が落ち着いているうちに根治してしまおう」と考えて、ご連絡をいただく例が多いです。

ご説明いただいた以外の疾患でも、日帰り手術が可能なのでしょうか?

【所院長】胆嚢結石における胆嚢切除も日帰り手術が可能です。近い将来、日帰り手術の有用性が日本でも欧米並みに広く認知されるようになれば、さまざまな症例で日帰り手術が標準的な選択肢となる日が来るでしょう。日進月歩の最新医療を学ぶことを忘れず、これからも技術の研鑽に励む所存です。

診療時に特に重視していることはありますか?

田村先生の写真

【所院長】患者さんとの情報共有ですね。治療方針や手術にともなうリスクを、わかりやすい言葉で伝えるようにしています。さらに、日帰り手術を受ける患者さんに自作の「クリニカルパス」をお渡ししています。クリニカルパスというのは本来、医師や看護師が患者さんごとの診療計画とその進行状況を共有しておくために用いるのですが、それを患者さんにも公開して治療について理解していただこうという、当クリニック独自の取り組みです。

患者さんからは「自分の治療方針やスケジュールがひと目でわかり、安心できる」と、さっそくご好評をいただいています。

【田村副院長】私も院長と同じく、患者さんとの対話を大切にしています。私たちが提供する日帰り手術の「身体への負担の少なさのメリット」「入院せずにすむ時間的・経済的メリット」には自信を持っています。しかし、だからといって、無理に日帰り手術を勧めるようなことは決してしません。仮に患者さん本人が日帰り手術を望まれていたとしても、専門医として入院での手術が必要と判断した場合は、その根拠もしっかりとお伝えして納得いただくようにしています。