「痛みを取り除く治療」と「痛みが生じにくい体をつくる治療」に注力し、患者の健康な生活をサポート
貴院で提供されているペインクリニックの診療内容について教えてください。

人の体には、頭痛、肩こり、腰痛、坐骨神経痛、手術後の痛み、帯状疱疹に伴う神経痛、さらにはがんの発症や治療に伴う痛みなど、さまざまな種類の痛みが生じます。これらの痛みは、症状そのものがつらいだけでなく、体を思うように動かせなくなることで日常生活の活動が制限され、結果として生活の質(QOL)が大きく損なわれてしまいます。
ペインクリニックでは、こうした多様な痛みを総合的に診断・評価し、原因を見極めたうえで、適切な治療を行います。単に痛みを抑えるだけでなく、患者さん一人ひとりの症状や生活背景に応じて、より根本的な改善をめざすのが特徴です。
当院でも、幅広い痛みに対応しており、薬物療法や神経ブロック療法、理学療法的アプローチなどを組み合わせながら、患者さんのQOL向上をサポートしています。
貴院にはどのような患者さんが来院されていますか?
当院には、運動器(骨・筋肉・関節・神経)に関連する痛みを抱えて来院される患者さんが多くいらっしゃいます。具体的には、肩こりや腰痛、変形性膝関節症による膝の痛み、四十肩・五十肩、関節痛、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、日常生活に支障をきたす慢性の痛みでお悩みの方が中心です。また、ぎっくり腰や寝違えといった急性の痛みに加え、帯状疱疹に伴う神経痛で来院される方も少なくありません。
学生や働き盛りの方から高齢の方まで、幅広い年齢層の方にご来院いただいていますが、なかでも40代以上の中高年層から高齢の方の受診が多い傾向にあります。
治療はどのように進められるのでしょうか? 一般的な流れについてお聞かせください。
痛みが続くと、体を動かすことが億劫になり、運動量が減ってしまいます。その結果、基礎代謝の低下や血流の悪化を招き、身体が冷えやすくなるなど、さらに痛みを助長するような状態に陥ります。こうした悪循環を、当院では「痛みの悪循環」と捉えています。この悪循環を断ち切るために、まずは神経ブロック療法(注射)や薬物療法(内服薬)を用いて、今ある痛みをしっかりと抑えることから治療を始めます。
なかでも神経ブロック注射は、痛みや炎症の原因部位に対して局所麻酔薬や抗炎症薬を直接注入する治療で、神経の興奮を抑え、痛みの伝達をブロックします。注射にあたっては、細い針や麻酔薬を使用することで痛みに配慮しつつ、レントゲンや超音波(エコー)を用いて正確な位置を確認しながら施術を行いますので、初めての方でも安心して受けていただけます。
こうして痛みを緩和したあとも、運動不足や血流の滞りといった身体の状態が改善されなければ、再び痛みが生じる可能性があります。そこで当院では、リハビリテーションにも力を入れ、適切な運動習慣や身体の使い方を身につけていただくことを重視しています。
リハビリではどのようなことを実施されていますか?

理学療法士の指導のもと、患者さん一人ひとりの状態に応じたリハビリテーションを提供しています。主な内容は、身体に負担をかけずに動かすための正しい動作指導や、セルフストレッチの方法の指導などです。「運動」と聞くと不安を感じる方もいらっしゃいますが、ご年齢や体力、痛みの程度をふまえたうえで、無理のない範囲で継続できる内容をご提案していますので、ご安心ください。
当院がリハビリにおいて大切にしているのは、患者さんご自身が日常生活の中で正しく体を動かせるようになることです。必要以上に通院に頼らずとも、ご自宅でセルフケアを続けることで、痛みの再発を防ぎ、快適な生活を維持していただけるようサポートしています。
また、日常的に体を動かす習慣を身につけていただくことで、体力がつき、軽い体調不良からの回復も早くなるなど、健康寿命の延伸にもつながると考えています。
当院では、痛みを「取り除く」だけでなく、「再発しにくい体づくり」をサポートすることで、より根本的な改善と、患者さんの生活の質(QOL)の向上をめざしています。リハビリもその重要な一環であり、患者さんが毎日を元気に、自分らしく過ごせることを目標にしています。